「エモい」「エモさ」の意味
「エモい」や「エモさ」は「感情が揺り動かされた状態」を意味しています。音楽を聴いたり小説を読んだり写真を見たりして、感情が揺り動かされたときに「エモい」という表現を使い、感情を揺り動かすような性質を「エモさ」と言います。
「エモい」「エモさ」って具体的にはどういうこと?
「エモい」「エモさ」は具体的にはどのような感情を動かすものなのでしょうか。「エモい」「エモさ」では、以下のような感情を表現できるとされています。
- 哀愁がある
- 趣がある
- 興奮する
- 抒情的である
- 儚い
- せつない
- 懐かしい
「エモさ」の定義
前述のように、「エモい」「エモさ」で表現できる感情は多岐にわたるため、説明すればするほどにかえってわかりづらくなってしまいます。
「これが『エモさ』だ!」とわかりやすく説明することができず、人によって、また状況によって、「エモい」や「エモさ」が指し示す感情は変わっていきます。
中には、本当に他の言葉で言い表すことができずに「エモい」「エモさ」を使う場合も多いです。
感情が揺り動かされるのだけれど、それが具体的にどのような感情かをほかの言葉で説明することができないときに「エモい」「エモさ」をあてはめます。
「エモい」「エモさ」の例文
- うわ~! あのキャラとあのキャラが一緒に戦うのか~。エモい!
- この写真、エモいなぁ。このポーズがエモい!
- この曲はエモいコード進行が詰め込まれてる。
- あのキスシーンが最高にエモいんだよぉ。
- もっとエモいイラストが描きたいんだけどなぁ。
- このエモさ、写真で伝わるかなぁ~
- 懐かしい歌を歌って、エモさがあふれ出して泣き出してしまう。
- お前にこのエモさがわかるかい?
「エモい」「エモさ」の由来
「エモい」や「エモさ」の由来になったのは英語の"emotional"です。"emotional"は「感情に訴える」「感情的な」という意味です。
この"emotional"を使った言葉に「エモーショナル・ハードコア」という音楽のジャンルがあります。「エモ」「イーモウ」などとも呼ばれています。「エモい」「エモさ」はもともと、このエモーショナル・ハードコアの音楽性に対して使う言葉でした。
2000年代後半にはすでに「エモい」「エモさ」という言葉は存在していましたが、それが広まったのは「今年の新語 2016」に掲載されて以降と言われています。
「エモい」「エモさ」は昔からあった?
「エモい」「エモさ」のような「よくわからない感情」「言葉にできない感情」「何とも言えない感情」を表現した言葉は、実は1000年以上昔から存在していました。「もののあはれ」や「いとをかし」という言葉がそれです。
どちらも古文によく登場する言葉で、学校で習った人も多いと思いますが、先生の説明を聞いても、参考書を読んでも、いまひとつピンとこず、具体的なイメージがわいてこなかったのではないでしょうか。
それも当然。「もののあはれ」や「いとをかし」は、「エモい」「エモさ」と同じように、説明の難しい「何とも言えない感情」を表した言葉なのです。
もののあはれ
「あはれ」というと現代語では「哀れ」、すなわち「かわいそう」というニュアンスになりますが、古文における「あはれ」は意味が違います。
「あはれ」はしみじみとした趣、湧き上がってくる感情、寂しさ、悲しさ、愛情、人情と様々な感情を表し、一つの具体的な言葉で言い表すことができません。まさに、「エモい」に相当する言葉です。
江戸時代の国学者、本居宣長は、平安時代の文学がわかりやすさではなく「あはれ」を重視する傾向を「もののあはれ」と呼びました。平安時代の文学はエモさを重視していた、と言えます。
いとをかし
「をかし」は現代語では「おかしい」、すなわち「面白い」「変だ」というニュアンスでよく使われる言葉です。
「をかし」にはそのような意味もありますが、さらに「興味深い」「心が惹かれる」「趣がある」「風情がある」「美しい」「優美だ」「愛らしい」「すばらしい」と、様々な感情を言い表す言葉であり、まさに現代の「エモい」「エモさ」に通じます。
「いと」は「とても」を意味する言葉で、古文では「いとをかし」とセットで使われることが多いです。
「エモさ」まとめ
なにかを見たり聞いたりして、言葉では言い表せない何とも言えない気持ちがこみあげてくるのは、平安時代の貴族も、現代の若者も、同じなのでしょう。
「エモい」「エモさ」の意味や使い方が分かったので、ぜひ使ってみたくなるところですが、一番エモいのは、あえて「もののあはれを感じる」「いとをかし」といった、古くて奥ゆかしい日本語を使ってみることかもしれません。