「繋がる」とは?
「繋がる」(つながる)の漢字「繋」の音読みは「けい」「げい」、訓読みは「きずな」「つな(がる)」「とら(える)」「か(ける)」です。字の中に「糸」が入っていることからも、基本的な意味は「結びつく」であることが判ります。
なにがどう結びつくのか、ということによって「繋がる」の意味のニュアンスも異なってきます。その複数の意味を一つ一つ解説し、使い方をご紹介いたしましょう。
結ばれる「繋がる」
離れている別々のものが結ばれる、という意味の「繋がる」は、物理的な物と物の繋がりだけではなく、人の心と心、回線の繋がりなど、目に見えないものの結びつきも含んでいます。
(A男)
電車の車両と車両が繋がる部分っていうのは、鉄道マニアにとっては必見ポイントなんだよね。
(B子)
彼氏がアメリカの大学に留学してしまって寂しいけれど、心と心が強く繋がる私たちだから、別れる心配なんてないのよ。
連なる「繋がる」
幾つものものが連なって続く、もしくは継続する、という意味の「繋がる」も、物理的な物と同時に、月日などの目に見えないものの連なりを含みます。
真珠のネックレスは、たくさんの真珠が直接繋がることで出来上がっています。道の渋滞は、たくさんの自動車が繋がることの結果ですが、車と車が直接連結していなくても、俯瞰した場合にひと連なりに見えるような状況も、「繋がる」と表現されます。
(C子)
大粒の真珠が繋がるこのネックレスは、亡くなった母の大切な形見なの。
(D男)
大渋滞にはまる時って、この大量の車の繋がりの先頭はどこなんだ?といつも苛々と考えちゃうんだよな。
(E子)
私たちにもいろいろなことがあったけど、小学校からの日々の繋がりそのものが、あなたとの友情の証だと思えるわ。
関係性の「繋がる」
関係性における「繋がる」は、現代社会で最も重要な意味をもつ言葉かもしれません。なぜなら、ネット社会となった今、人々は競い合うようにSNSなどで発信しては、どれほどたくさんの「繋がり」を持っているかを重要視する傾向があるからです。
この「繋がる」もまた、人と人や物と物など物理的な存在における直接的な繋がり(実際に会って絆をつくる、など)と、目に見えない関係性の繋がり(アリバイの存在が無実の証明となる、など)の両面を持ちます。
(F子)
フェイスブックに、昨日観た映画の感想を書いたら、500件の「いいね」が付いたの!500人もの人々と「繋がる」っていうことの凄さをしみじみ実感しちゃった。
(G刑事)
岡田一郎は、3月20日に京都の友人を訪問していたんだ。これで、事件の点と線が繋がるぞ!
「繋がる」の類語と使い方
接続する:①二つ以上のものが結合すること。(文例:この組立本棚は、いったん横板と縦板の接続ポイントを間違えると、解体するのも厄介だ)②複数の交通機関が連絡すること。(文例:東横線は、横浜駅からみなとみらい線に接続する)
連結する:二つのものを一続きに繋ぐこと。(文例:一つ前に食堂車が連結していたので、行き来が近くて便利だった)
合体する:二つ以上のものがまとまり、一つになること。(文例:散らばった水銀の球をくっつけると、どんどん合体して大きなひと塊に戻る)
「繋がる」の対義語と使い方
切れる:①繋がっていたものが、離れる。(文例:ぬいぐるみのクマの耳が切れて、子供は大泣きした)②繋がっていた関係が消滅する。(文例:幼馴染と些細な事で喧嘩したのだが、結局彼との関係は完全に切れてしまった)
絶える:①繋がっていたものが、途中で途切れること。(文例:毎日あった彼からの電話連絡は、ある日を境に突然絶えた)②途絶えて消失すること。(文例:我々夫婦はともに一人っ子のうえ子供がいないので、ついに小林家は絶えてしまうことになった)③呼吸が停止すること。(文例:細々と続いていた祖父の呼吸が、ついに絶えた)