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「辛い(からい)」と「辛い(つらい)」
「辛い(からい)」には、大きく分けて「味覚」に関する意味と「評価」に関する意味の二つあります。どちらの意味でも対義語は「甘い」です。
一方、「辛い(つらい)」の意味も「心身の負荷」と「他者への態度」という二つに分けられます。以下では使い方や類語などそれぞれもう少し詳しく見ていきましょう。
「辛い(からい)」の意味・使い方・類語①(味覚)
味覚の「辛い」には以下のとおり三つのパターンがあります。
- スパイシー
- 塩気が多い
- 淡麗
スパイシーな「辛い」
「辛い」は、舌がひりひりするような感じを表現した言葉です。カレー粉、わさび、しょうがなどの味を言います。
その類語には「スパイシー」があげられます。エスニック料理など、特に香りや辛みが強い場合に使われます。また近年、舌がしびれるほどの激辛料理は「シビレ系」などと言ったりもしますね。
【例文】
- スリランカ人直伝のカレーを食べたら、辛くて汗がとまらなくなった。
塩気が多い「辛い」
「辛い」は、塩分が強い場合にも使われます。類語としては、「塩辛い」や「しょっぱい」があげられます。
これらの表現は、東日本・西日本など地域により使い方に違いがあると言われています。皆さんの地域ではどんな表現が使われているでしょうか。
【例文】
- 今日のみそ汁、みそ入れ過ぎたかな?いつもより辛いよね。
淡麗な「辛い」
「辛い」は、酒の味などについて使われる場合もあります。その場合は、甘みが控えめでさっぱりと引き締まった味を意味します。類語としては「淡麗」「端麗辛口」があげられます。
【例文】
- このワイン、辛くていくらでも飲めそう。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」とは
「辛い(からい)」が含まれる慣用句として、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」があげられます。
これは比喩表現で、「体は小さいが、力量や手腕が優れていて、あなどれない存在である」と言う意味です。
「辛い(からい)」の意味・使い方・類語②(評価)
「辛い」は、採点の仕方や評価の基準が厳格である、という意味もあります。類語としては「厳しい」があげられます。
【例文】
- 渡辺先生は全体に採点が辛いから、あまり気にしない方がいいよ。
「辛い(つらい)」の意味・使い方・類語①(心身の負荷)
「辛い」は、肉体的、精神的に我慢できないくらい苦痛である、という意味です。類語としては「苦しい」「切ない」「しんどい」「耐えがたい」「やりきれない」「やるせない」などがあげられます。
【例文】
- 愛娘と離れ離れになるのは、身を切られるほど辛いことだ。
「辛い」「切ない」「苦しい」の使い分け
「辛い」の類語の中でも「切ない」「苦しい」は、使い分けに気をつけたい言葉です。どれも「肉体的、精神的に苦痛を感じる様子」という共通の意味がありますが、少しずつニュアンスの違いがあります。
「切ない」は、悲しみや寂しさ、愛しさなどを感じて気持ちが苦しい場合に使われます。「甘く切ない初恋の思い出」のように、「愛しさや悲しみで胸がぎゅっと締め付けられる」というような意味では「切ない」が用いられます。
一方、「満員電車で押されて胸が苦しい」のように、外部からの力により圧迫されるような場合は「苦しい」が用いられます。
心身両面に関わる「苦しい仕事に耐える」「辛い仕事に耐える」のような使い方においては、「苦しい」は肉体的苦痛に重点が置かれ「辛い」は精神的苦痛に重点が置かれます。
「辛い(つらい)」の意味・使い方・類語②(他者への態度)
「辛い」には、他者に対する行為に思いやりがない、という意味もあります。類語としては「冷たい」「ひどい」「心ない」「すげない」などがあげられます。
【例文】
- イライラして子供に辛く当たってしまったことを反省している。
接尾語的な「辛い(づらい)」
「辛い」は、動詞の連用形に付いて「〇〇辛い」という形をとる場合もあります。「〇〇辛い」は「〇〇づらい」という読み方で、「〇〇するのが大変だ」「〇〇するのが困難だ」という意味になります。
「老眼のため新聞が読みづらい」「先輩にお金を返してほしいとはなかなか言いづらい」のように、ひらがな表記される場合が多いようです。