「不足している」とは?
「不足している」とは、あるべきもの、必要であるものの一部が存在していない状態であることを意味します。
重要なポイントは「一部」という点です。まったく存在していなければ「不足」とは言わず、「無い」と表現されます。
「不足している」は「不足」という名詞と、結果の状態や動作の継続を指す「〜している」で構成されています。「不足」という言葉については、後述します。
「不足している」の使い方
「不足している」の使い方は、主に「○○が不足している」というかたちで用いられます。
- 忙しいので、コンビニ弁当ばかり。これでは、野菜が不足しているわね。
- 介護の現場では、なんといっても人の手が不足している。
- 君の仕事ぶりに不足しているのは、情熱なんだよ。
「不足している」の英語表現は?
英語には「不足している」に相当する単語、イディオムが数多くあります。代表的なものと、その使い方を挙げてみましょう。
- His data is insufficient.(訳:彼のデータは不足している)
- Please giive me the list of missing books.(訳:不足している本のリストをちょうだい)
- We are short of food.(訳:我々は、食料が不足している)
- They have a shortage of water.(訳:彼らには、水が不足している)
- Please tell me your scarce commodity.(訳:あなたがたに不足してる日用品を教えて)
- A lack of money always makes me unhappy.(訳:金が足りなくて、落ち込むばかりさ)
「不足」とは
「不足」の意味
「不足」という言葉は、「足りない」という広い意味と、人の感情に関する「満足でないこと」「不満」という意味があります。「不足している」という場合の「不足」は、前者の「足りない」という意味です。
「不足」の言葉の成り立ち
「不足」という文字から、その意味を探ってみましょう。「不」の主な意味は、「否定」です。不具合、不調、不幸せ、不快など、様々な名詞や形容詞の前に付いて、後の言葉を否定する役割を持ちます。
「足」は、ご存知のとおり、身体の足を意味しますが、「足りる(たりる)」と読む場合の「足」は、「満ちている」「十分である」という欠けていない状態を意味します。
「不足」は、後者の意味の「足」を「不」で否定した言葉。すなわち、十分ではない→足りていない、という意味になるわけです。
「不足」の使い方
【「足りない」という意味での使い方】
「不足」は、「不足する」というかたちで用いられる以外にも、「○○不足」のようにほかの名詞と合わせて使われます。
- 今年の梅雨はほとんど雨が降らなかったから、夏には水が不足するだろうね。
- 締切があさってなのに仕事がはかどらず、この二日間ひどい寝不足だよ。
【「不満」という意味での使い方】
「不足」は、主に「不足はない」「不足を言う」のようなかたちで用いられます。慣用句の「役不足」については、次の項で説明します。
- 将棋大会の対戦相手は君か。君なら、相手に不足はないよ。
- ご飯を食べられない人もいるのよ!おやつがないからって、不足を言わないで。
誤用が多い「役不足」
何かの担当などに指名されたとき、「いやあ、僕では役不足ではないでしょうか」などと謙遜のつもりで言ってしまったことはありませんか?実は、真逆の意味なのです。
「役不足」という言葉は、自分では力が足りないという意味ではありません。逆に、力量、能力に比べて、あてがわれた役目が軽すぎるという意味なのです。上記の場面で謙遜したい場合は、「僕では力不足ではないでしょうか」が正しい言い方となります。
【例文】
- あのバリバリの営業マンのA君が、総務課の係長になったのかい?それは彼には役不足だよ。