「顰める」の読み方と意味
普段の生活の中で「顰める」という字を目にすることはめったにないのですが、実は言葉自体は非常に良く使われています。「顰める」は「しかめる」または「ひそめる」と読みます。苦痛や不快のために眉のあたりにしわを寄せること、というのがその意味です。
「顰める」の使い分け
「顰める」の使い分け
「顰める」は顔の表情を指す言葉ですが、対象が顔であるのか眉であるのかによって、読み方が変わります。「顔」であれば「しかめる」、眉であれば「ひそめる」と読みます。慣習的に読み分けられていますが、理由は定かではありません。
一般的に、「眉をしかめる」は誤用とされています。しかし、文化庁の過去の調査では、正しく「眉をひそめる」と認識している人と、「眉をしかめる」だと誤認している人の割合は半々でした。
「顰める」の使い分けの覚え方
「しかめる」と「ひそめる」、どちらの読み方が正しいのかを思い出す手段としては、後ろに「面(つら)」を付けると良いでしょう。「しかめっつら」とは言いますが、「ひそめっつら」とは言いません。
このように、不機嫌そうに眉を寄せた状態を「顰めっ面(しかめっつら)」と言い、顰めっ面の状態を別の言葉で表現する時に「眉を顰(ひそ)める」という言い方をします。誤用に気を付けたい言葉です。
「顰める」を使った例文
「顰める」は、「顔を顰める(しかめる)」か「眉を顰める(ひそめる)」というかたちで用いられ、それ以外の用例はほとんど無いようです。
「顔を顰める」
- ちょっとした油断から向うずねを打ってしまい、顔を顰める。
- 教師が顔を顰めて、生徒の必死の言い訳を聞く。
「眉を顰める」
- 映画の上映中にいびきをかいて寝ている人を見つけ、思わず眉を顰めてしまった。
- 気を引きたいのか、彼はわざと人が眉を顰めるようなことをする。
「顰」の字を使った言葉
顰蹙
「顰める」の「顰」を使った熟語の中で最も代表的なものに、「顰蹙(ひんしゅく)」という言葉があります。「顰蹙を買う」とは、人が眉をひそめるような言動をして、人から嫌われ軽蔑されるという意味です。
一顰一笑
また、「一顰一笑(いっぴんいっしょう)」という四字熟語もあります。顔をしかめたり笑ったりという意味から表情の動きや機嫌を表す言葉で、「上司の一顰一笑をうかがう」というように使われています。