「ではでは」について
「ではでは」の意味
メール文でもそうですが、顔が見えない電話口の向こうの人に、「では」「それでは」と切り口上で伝えると唐突な印象が強くなります。そのような時に「ではでは」と同語反復すると、言葉に丸みが出るので(相手への気遣いを示し)、思いが伝わりやすくなります。
また、嫌味にならない程度に同じ単語を重複させて(繰り返して)思いを強調しています。こういった単語を重ねた言葉を『畳語』(ジョウゴ)と呼びます。
「ではでは」の使い方
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宴会の終わりを告げる幹事の挨拶です。
ではでは、宴もたけなわですが、今宵はこのあたりで「お開きに」。
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メール文のやり取りの最後に「終業時刻」が近いことを知らせます 。
ではでは、本日も無事に一日終了しました。「おつかれさまです」。
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男女の「別れ」では、「湿り気」をなくす効果を引き出します。
どうぞ、お元気で…。ではでは、長いことお世話になりました。
『畳語』(ジョウゴ)について
『畳語』は「複合語」「合成語」に属しますが、品詞の数だけバリエーションに富んでいます。
【〈名詞〉としての畳語】
「おのおの」「いろいろ」「ひとびと」「たびたび」「ときどき」「みちみち」
【〈動詞〉としての畳語】
「なくなく」「やすみやすみ」「かさねがさね」「おそるおそる」「なくなく」
【〈形容詞〉としての畳語】
「いやいや」「ちかぢか」「ながなが」「ひろびろ」「けちけち」「さむざむ」
【〈副詞〉としての畳語】
「ただただ」「まだまだ」「いつもいつも」「とてもとても」「うすうす」
【〈感動詞〉としての畳語】
「あらあら」「おやおや」「やれやれ」「ヒヤヒヤ」「うんうん」「まあまあ」
上にあげたどの品詞でも、「ではでは」の場合のように、語を積み重ねて基となる意味を強調しています。しかし、〈接続詞〉として用いる畳語の例はあまりありません。同じ畳語の仲間では、「そもそも」が数少ないそのひとつとしてあげられます。
「ではでは」と似た畳語の例
「ぜひぜひ」
「ぜひ」は、「ぜひ、ご覧ください」「ぜひ、ご一読をお願いします」のようにビジネスの場で広範に使われる表現です。「ぜひ」は「是非」と書く漢字の読みですが、「ぜひぜひ」と表した場合には、冒頭文の思いがさらに強調されてきます。
取引先との契約で同業他社との競合を招いている場合なら、担当者への言葉は「ぜひぜひ、当社へ」と強い訴えになるでしょう。また、無事に契約を終えたあとのさらなる依頼では「ぜひぜひ、お伺いします」と、相手への強い謝意を表わした「ぜひぜひ」になってきます。
【例文】
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この度の案件につきましては、ぜひぜひ(弊社のプラン)をご採用くださいますよう。
「どうもどうも」
「どうも」は、日本語の簡略化された挨拶表現です。同僚や仲間、あるいは親しい間柄にある取引先との通例の挨拶で用いられています。
「どうもありがとうございます」「どうもお疲れさまです」と、本来は伝えるべき後ろの言葉を省いています。その安易さに対して、ぞんざいな物言いも時には見られますが、互いの関係のあり方を挨拶によって示す態度の表れです。
「どうも」に同語の「どうも」を重ねて、省略された後節を補います。また、「どうも」ひと言だけではいい切れないねぎらいや謝意に対しては、語尾を締めて「どうもどうも」と表現します。
【例文】
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どうもどうも(おつかれさまでした)。今日はお招きいただき、ありがとうございます。
「どうぞどうぞ」
「どうぞどうぞ」は、物事を勧めるときに使われます。例えば、満員の電車内で、〈優先席〉に座っていた初老の男性が、杖をついた女性に席をゆずる時です。「よろしいんですか?」「どうぞどうぞ」。このように「どうぞ」を二度繰り返すことで、女性に席をゆずる思いをスムーズに伝え、女性の行動を促すことができます。
この場合の「どうぞどうぞ」は、相手に物事を勧めたり、許可や承諾の気持ちを強調して伝えようとする思いの表れです。
ビジネスの場でも、身を低くして接する姿勢が好結果につながることがあるでしょう。勤め先のビルで清掃を担当している人たちや出入りの業者の人に「どうぞどうぞ」といってゆずる姿勢が良い印象や結果につながるかもしれません。
【例文】
- はい、どうぞどうぞ(こちらへ)。私共がご案内させていただきます。