「ヴィラン」とは
「ヴィラン」または「ビラン」は、 英語の「villain」に由来するカタカナ語で、「(映画や漫画などの)主要な悪役」を指す言葉です。
ヴィランはもともとヒーロー・ヒロインの対極にいる存在を表す言葉でしたが、単に悪役という意味でも使われています。
アメコミ映画の人気によって日本でも使われるようになった言葉ですが、ディズニー作品の悪役がヴィランと言われ始めたことで広く用いられるようになりました。
「ヴィラン」の使い方
- 映画『ブラックパンサー』のヴィラン、キルモンガーはただの悪役にとどまらない魅力があった。
- ティム・バートン監督の『バットマン』にはオスカー俳優のジャック・ニコルソンがジョーカー役で出演しているが、大物俳優がコミック映画のヴィランを演じるのは異例のことだった。
- 映画『マレフィセント』は『眠れる森の美女』のヴィランであるマレフィセントを主人公にした物語だ。
「villain」とは
「villain」の意味
英語の「villain」の主な意味は次の通りで、2の意味で使われるようになったのは1800年代前半。日本語の「ヴィラン」は2または1の意味で用いられています。
- 邪悪な人。悪党。
- フィクション作品において主な悪役。ヒーロー・ヒロインと釣り合うほどの存在感を放つキャラクター。
- 問題や害悪の原因。
- [イギリス警察の俗語]犯罪者
- 農奴。
「villain」の語源
英語の「villain」の語源は、古代ローマの荘園を意味するラテン語「vīlla」です。これが「vīllānus(農奴)」という俗語になり、 古フランス語の「vilein/vilain(粗野な感性の人)」を経て、13世紀後半〜14世紀前半頃に英語の「villain」になったといわれています。
「ヴィラン」の類語
ヒーロー・ヒロインの対極というニュアンスで
ヒーローやヒロインの対極にいる存在というニュアンスで用いる「ヴィラン」を言い換えるなら、競争相手や好敵手を意味する「ライバル(rival)」、また、反主人公を指す「アンチヒーロー(antihero)」が使えるでしょう。
強烈な個性がありながら、一般的に正とされるような倫理観や問題解決手段を持たない、義賊や復讐者のような闇の主人公「ダークヒーロー(dark hero)」も、「ヴィラン」の類語に挙げられます。
また、悪役、悪玉を指す「ヒール(heel)」は、プロレス業界で善玉(ベビーフェイス)と悪玉(ヒール)にキャラクタを分けて試合をしていたことに由来しますから、まさにヒーロー・ヒロインの対極にいる存在です。
悪役というニュアンスで
「ヴィランズ」を悪役と捉えるならば、極悪人というほどではないものの、ずる賢い小悪党や悪漢を指す「ピカレスク(picaresque)」も「ヴィランズ」の類語といえます。
「赤塗り・赤面」
「赤塗り/赤塗(あかぬり)」や「赤面/赭面(あかつら/あかづら)」は、浄瑠璃や歌舞伎の顔を赤く塗るメークアップで、そのメイクを施した役も赤塗り、赤面と呼ばれます。
初期は勇猛と奸悪の両方のキャラクタに施されたメイクでしたが、後に敵役のみに用いられるようになり、そのメイクのキャラクタ=悪役という意味になりました。これらも、「ヴィランズ」の類語に挙げられるでしょう。
映画『ディセンダント』
『ディセンダント(原題:Descendants)』はディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーによる映画作品で、全米公開は2015年。「ディズニー作品のヴィランズたちに子供がいて、彼らがティーンエイジャーだったら」という設定で描かれる物語です。
本作は、『眠れる森の美女』のヴィランズ・マレフィセントの娘、『白雪姫』の悪い王妃の娘、『101匹わんちゃん』で子犬の毛皮のコートを作ろうとしたクルエラ・ド・ビルの息子、「アラジン」の悪い大臣・ジャファーの息子などが登場します。
「ヴィラン連合」とは
「ヴィラン連合」とは、堀越耕平による漫画作品『僕のヒーローアカデミア』(2014年より週刊少年ジャンプで連載)に登場する敵(ヴィラン)の組織の一つで、自ら「ヴィラン連合」と名乗っています。
なお、本作は、一人の少年が、ヒーローアカデミアに入学してヒーローを目指す、超能力アクションストーリーです。