「よしなに」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「どうぞよしなに」のような挨拶を聞いたことはありますか?この「よしなに」とは、「ほどよく」「適切に」のような意味がありますが、様々なシーンで使うことができる表現です。今回は「よしなに」の意味や使い方について、類語を含めてご説明します。

目次

  1. 「よしなに」とは
  2. 「よしなに」の使い方:挨拶
  3. 「よしなに」の使い方:「あとは任せる」の意
  4. 「よしなに」を使うときの注意点
  5. 「よしなに」」の類語

「よしなに」とは

「よしなに」の意味

「よしなに」には「うまい具合になるように」「ほどよく」「適切に」などの意味を持つ 副詞です。ものごとが状況にふさわしくスムーズに進むようにというニュアンスを含んでいます。

また、相手にお願いごとをする際などに、「よろしく」「どうぞ」と同じような意味で添える言葉としても使われます。

「よしなに」は漢字で書く?

「よしなに」を漢字で書くとすれば、「良しなに」あるいは「宜しなに」ではないかといわれています。しかし、はっきりと漢字表記が定められていないので、ひらがな表記を使う方が良いでしょう

「よしなに」の語源

「よしなに」の語源は、古事記に書かれている神話までさかのぼるといわれています

邇邇藝命(ににぎのみこと)の妻・木花之佐久夜毘売(このはなさくやひめ)が三つ子を出産したところ、祝いのために駆けつけた信濃地方の4人県主が、「へその緒(胞衣という説もある)を祀らせて欲しい」と申し出ました。

そこで、3つのへその緒を4人でうまく分けて欲しいと伝える際に「よしなにはからう(4人の信濃に計らう)」と言う表現が生まれたそうです。

「よしなに」は方言?

「よしなに」は方言ではなく、大和言葉のひとつであるといわれています。現代のビジネスシーンでも使われる「お手すきでしたら」、「遅ればせながら」なども大和言葉のひとつです。

「よしなに」の使い方:挨拶

「どうぞよしなに」

(A)

このところ雨が続きますね。急いでおりますので、どうぞよしなに。

ご近所の方とすれ違いざまに挨拶を交わすときなどにも、「どうぞよしなに」を使うことがあります。この場合は、別れ際に添える「これで失礼します」「ではお先に」「どうも」のようなニュアンスです。

(B)

新しくこの地区を担当させていただくことになりましたBです。どうぞよしなにお願いいたします。


「よしなに」は丁寧な挨拶として用いられます。「どうぞよしなに」は「どうぞよろしくお願いします」という意味ですが、目上の人に使う場合は「どうぞよしなにお願いいたします」と、より丁寧にした方がいいでしょう。

「よしなに伝える」

(C)

ご主人が戻られましたら、よしなにお伝えください。

「よしなにお伝えください」とは「よろしくお伝えください」という意味です。相手の身の回りの人への配慮として添えたり、挨拶するべき相手に直接挨拶できないことを詫びるような場合に使います。

「よしなに」の使い方:「あとは任せる」の意

「あとはよしなに」

(D)

こちらの要望は以上です。質問がなければ、あとはよしなに。

「あとはよしなに」とは、ある程度の段取りがついたあとに言う「あとはよろしく」「然るべき対応をしてくれ」という表現で、主に目上の人が目下の人に対して使います

「よしなに頼む」

(E)

もう出かけないと…あとはよしなに頼みます。

「よしなに頼む」は「あとは頼んだ」という意味で、相手に対して「うまい具合になるよう計ってくれ」というニュアンスがあります。

「どうぞよしなに」

(F)

資料はここに揃えておきましたので、どうぞよしなに。

この場合の「どうぞよしなに」は「あとはよろしくお願いします」にかわる言葉です。下準備を整えた後、目上の人に対してあとはあなたの良いようにお計らいください」と伝えるときに使います。

「よしなに」を使うときの注意点

「よしなに」は目上の人に使っても良い?

「よしなに」には「よろしくお願いします」という意味もあるので、目上の人に使っても良いとされています。しかし、それは好ましくないという人も少なからずいますから、目上の人には使わない方が無難かもしれません

「どうぞ、よしなにお願いいたします」のように丁寧な表現にするか、「どうぞ、よろしくお願いいたします」「どうぞ、お受け取り下さい」など他の言葉で言い換えましょう

ビジネスシーンで使うときの注意点

上司から「よしなに資料をまとめておいてくれ」と言われたらどうでしょう?「よしなに(ほどよく・適宜)」と言われても、どの辺りが基準なのかが不明瞭です。

ビジネスにおいては曖昧な表現は避け、指示や質問も具体的であることが求められます。ですから、「よしなに」と指示する際にも、指示された際にも、具体的な内容(5W1Hなど)を別途伝えたり確認したりする方が良いでしょう

「よしなに」」の類語

「適宜」

「適宜(てきぎ)」には、2つの意味があります。ひとつめは、「適宜な対応を行う」のように、その場に合っていること・ちょうど適していること・適当を指す場合です。その他に、「適宜お過ごしください」のように、個々の状況に合わせて行動することを指す場合があります。

「然るべく」

「然るべく(しかるべく)」には、「然るべく計らいます」のように適当に・いいように・よろしくという意味があります。

「宜しく」

「宜しく(よろしく)」にはたくさんの意味がありますが、「よしなに」の類語になりうるのは、次の三つです。ひとつは、「酒を用意したからよろしくやってくれ」のように適当に・うまい具合にという意味で用いる場合。

もうひとつは、「よろしくお引立てください」のように、相手に便宜をはかってもらったり、適切な配慮を期待する場合です。三つ目は「今後ともよろしくお願いします」のような挨拶語です。

なお、ビジネスシーンでは「よろしく」とひらがなで表記するのが一般的です


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