「アピール」の意味
- 個人または人々に訴えかけること。その訴え。
- (対象が)訴えかける力。人を惹きつける力。魅力。
- (運動競技中の)選手が審判の判定に不服を申し出ること。
「アピール」の使い方
「アピール」は多くの場合「アピールする」という形で用いられます。
- 政治家が広く聴衆にアピールする。
- 好きな異性にアピールする。
- 勉強の成果を試験でアピールできた。
- 今のアウトの判定に対して、キャプテンが審判にアピールした。
「アピール」を含む言葉
「アピール」は、次にご紹介するように、他の言葉と組み合わせて使われることあります。
「アピールポイント」
「アピールポイント」とは、「強調したい点や優れた点、長所や強み」という意味で、「取柄」や「得意」に近い言葉です。「イチ押し」といい換えてもいいでしょう。
「アピールポイント」は、容姿や服装のように一目見てわかることを指す場合にも、性格や実績など見た目はでわからないことを指す場合にも使われます。
【例】
- あなたのアピールポイントをひとつ教えてください。
「自己アピール」
「自己アピール」は、「他人に、自分の長所や得意なことをアピールすること」を指しています。また、芸能や芸術の分野では「個性の表出」という意味でも使われます。
【例】
- 自己アピールの上手な人になりたい。
「セックスアピール」
「セックスアピール」とは、「態度やしぐさ、容姿、服装などを含め、その人の在り方に性的魅力があること」を指す言葉です。
その社会、文化が培ってきた「男らしさ」「女らしさ」に当てはまる視覚的要素はもちろん、その他の感覚器を刺激する要素まで、すべての性的魅力がこれに含まれます。
【例】
- 彼の指先にセックスアピールを感じた。
また、例えば、ある人と性的関係を望む際に「セックスアピールを仕掛ける」という能動的な表現をする場合もあるようです。
「アピールプレイ」
「アピールプレイ」は野球用語で、「野球の試合中に起きたルール違反(塁を踏んでいないなど)を指摘して、審判にアウトにするよう求めること」を意味する言葉です。
抗議を審判が認めた時点でルール違反は成立し、アウトを宣告されます。このようにアウトになることを「アピールアウト」といいます。
【例】
- アピールプレイによってチームが逆転勝利した。
「アピール」と「PR(ピーアール)」
「アピール」と「PR(ピーアール)」が同じように用いられている場合もありますが、これは正しいのでしょうか。次の項目から見ていきましょう。
「PR」は「Public Relations」の省略形
「PR」は、英語の「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」を省略した言葉で、本来の意味は、「行政や団体、企業と、社会の人たちがいい関係づくりをするための施策や情報の共有」です。
Public(公共、公衆)とRelations(関係、間柄)を組み合わせた言葉で、19世紀末にアメリカで使われるようになりました。
「狭義の広報」と「広義の広報」
「Public Relations」という言葉は、第二次世界大戦後に日本に持ち込まれ、当時、占領軍の支配下にあった行政では、この言葉の訳語を「広報」としました。
行政機関が国民との間に信頼関係や協力関係を築くためには、国民の声を聞くこと(広聴)と行政情報の公開(広報)が欠かせません。
しかし、「Public Relations」が「広報」と訳されたために、狭義の広報と広義の広報が混在することになりました。
- 狭義の広報:お知らせすること。宣伝。広告。
- 広義の広報:狭義の広報+広聴。双方向のコミュニケーション。
こうしてみると、「アピール」は「狭義の広報」に近いといえます。しかし、本来のPR(広義の広報)は「アピール」と同義ではありません。
「自己アピール」と「自己PR」
上でご説明した通り、「アピール=PR」は誤用とまではいえませんが、就職活動応援サイトなどには「自己アピールと自己PRは別物で、企業が求めているのは自己PRです」と書かれています。
ここでいう「自己アピール」は「自分の特技や経験などを訴えかけること」、「自己PR」は「特技や経験など活かしてどのように会社に貢献できるか」ということだと考えられます。
就職活動に関する記事で、ことさら「アピール」と「PR」を区別しているのは、相手のことを考えずに自分のことを訴えるだけでは受かりませんよ、という思いが含まれているからなのです。