「凛々しい」とは?
「凛々しい」の意味
「凛々しい(りりしい)」とは、「勇ましい様子」、「引き締まって頼もしい様子」を表す言葉で、古くは「非常に賢い」、「賢々し(さかさかし)」という意味でも用いられていました。また、「凛凛しい」は「凛々しい」の別表記です。
なお、画面を拡大しないとわかりにくいかもしれませんが、「凛」(つくりの一番下が「示」)は、「凜」(つくりの一番下が「禾」)の異体字です。本来は「禾」の「凜」なのですが、ワープロソフトの変換のせいか、「示」の「凛」が用いられることも多いため、今回は「示」の「凛」と表記しています。
「凛」の意味
「凛」または「凜」という漢字は、音読みでは「リン」、訓読みでは「さむ(い)」、「すさ(まじい)」と読み、次のような意味があります。
- 厳寒。身がひきしまるような寒さ。
- すさまじい。りりしい様子。身がひきしまった様子。
「凛」という漢字の成り立ち
【冫】(にすい)
「凛」の部首である「冫」は、「氷」や「冷水」を表しています。
【禀】[リン・ヒン][うけ(る)・こめぐら・ふち・もう(す)]
「禀」は、「受ける・授かる」、「扶持・俸給」、「生まれつき・天から授かる」、「申す」、「穀物倉庫・食料」という意味があります。ただし、「凛」という漢字を形成する「禀」は、その意味よりも、その字音に由来する「身の引き締まる様子を表す擬態語」であると言われています。
「禀」という漢字
「禀」は、もともと穀物倉庫をという意味があることから、この漢字の一番下の部分は、神様に関する「示」ではなく、穀物に関する「禾」の方が本来の形だと考えられています。ですから、「示」の「禀」は、「禾」の「稟」の異体字とされ、これが最初にご説明した「凛」と「凜」の違いに関わってきます。
「々」という記号
「々」は、同じ漢字が続いて繰り返されるときに、二文字目の漢字の代用として用いる記号で、読み方は一文字目と同様です。この記号は、カタカナが重複する時の「ヽ」、ひらがなが重複する時の「ゝ」同じく「踊り字」の一種で、「重字」、「畳字」とも呼ばれます。
また、カタカナの「ノ」と「マ」を組み合わせたように見えるところからの「ノマ」と通称されており、この形は「仝」の変形という説と、中国でも用いられていた二点「〻」が日本で変化したという説があります。
記号なので正式な読み方はありませんが、パソコンなどで入力する際には、「おなじ」または「どう」または「くりかえし」を変換すると入力できます。
「凛々しい」の由来
「凛々しい」の語源は、「凛々(りんりん)」の字音に由来しています。「凛々」は、「寒さが厳しく身にしみいるさま」、「勇ましく勢いのあるさま」、「声などが鋭く響くさま」を表す言葉です。
一説には、「いかにも力強く感じられるさま」という意味を持つ「力力し(ちからぢからし)」に由来するとも言われています。
「凛々しい」の使い方
- 制服に身を包んだ彼は、凛々しい出で立ちだ。
- 教室に入ってきたのは、目元口元が凛々しい少女だった。
「凛々しい」の類語
- 「きりっと」「きりりと」:ひきしまっているさま。
- 「颯爽(さっそう)」:勇ましくて気持ちの良いさま。
- 「精悍(せいかん)」:鋭くて勇ましい様子。
- 「溌剌(はつらつ)」:きびきびとして元気が満ちている様子。
- 「ぱりっと」:身なりや態度が良くて男性的な様子。
「凛々しい」は女性にも使う褒め言葉
「凛々しい」は、男性に対してだけでなく、女性に対しても使える褒め言葉です。「凛」という字は「寒さで身が引き締まる」という意味があることからも、「凛々しい」という言葉は、澄んだ音が聞こえてきそうな寒い冬の朝に、身を縮めることなくピシッとしている気構えや佇まいを連想させます。
そのため、「凛々しい」は、外見だけでなく、己を厳しく律している内面も合わせた、その人が纏う雰囲気を指すニュアンスがあります。「凛々しい顔立ち」という時も、顔つきに滲み出るきりっとした雰囲気も含めた褒め言葉と言えるでしょう。
「凛々」を含む四字熟語
【威風凛々(いふうりんりん)】
「雰囲気に威厳があって凛々しい様子」を表す四字熟語です。「威風」は「厳かで犯しがたいさま。威厳のある様子」を指す言葉です。
[使用例]彼は威風凛々たる演技で観客の心を鷲掴みにした。
【勇気凛々(ゆうきりんりん)】
「失敗や危険を恐れない気力に溢れていて、勇ましい様子」を表す四字熟語です。
[使用例]父の励ましを受けて勇気凛々としてきた。