リトリートとは
リトリートとは、サッカーにおける守備戦術の1つで、ボールを奪われた際に、ほとんどの選手が自陣内に下がり守備陣形を整えて、敵の攻撃に備える守備のことです。リトリートは英語で「Retreat」と表記され、「退却」や「撤退」を意味します。
リトリートの基本的な考え方として、広いピッチに選手が散った状態で守備をするよりも、自陣内でゴール前に守備陣形を整えることにより、バイタルエリアでプレーをさせないことの方が、失点のリスクが少ないということがあります。
リトリートと対をなす戦術として「フォアチェック」があります。サッカーの戦術には、カウンター型とポゼッション型の2つに大きく分類されます。カウンター型のチームにはリトリート、ポゼッション型のチームにはフォアチェックが取り入れられています。
フォアチェックとは
フォアチェックとは、ボールを奪われた際に、ボールを保持している選手に一番近い選手がすぐにプレスをかけてボールを奪い返す守備戦術です。出来る限り相手のゴールの近くでボールを奪い、ショートカウンターへ繋げることを目的としています。
リトリートの使い方
- リトリートしているおかげで、ポゼッションは悪いけど失点しそうな危ない場面はないね
- 日本代表はリトリートした相手から、いかに得点を奪うかが今後の課題だね
リトリートのメリット
リトリートには、大きく2つのメリットがあります。それは、「数的有利を作り出せる」と「ロングカウンターを仕掛けられる」です。
数的有利を作り出せる
リトリートは、ボールを奪われたと同時に、自陣内にほとんどの選手が引いて守備陣形を作るのでゴール前で数的有利を作り出すことができます。
数的有利を作ることで、ボールホルダーにプレッシャーをかける人数を増やすことができたり、相手チームがドリブルやパスをするスペースを潰したりできます。これらは、守備側にとって非常に有利な状況であると言えます。
ロングカウンターを仕掛けられる
意図的に自陣内で守るので、相手チームを誘い込むことができ相手陣内が手薄になっていきます。そこで、ボールを奪い、手薄になった相手陣内にロングカウンターを仕掛けることにより決定機を作り出せます。
リトリートのデメリット
リトリートのデメリットとして、相手チームのポゼッション率が上がり、守備の時間が長くなってしまうことが挙げられます。守備の時間が長くなるため、いかに辛抱強く集中して守備を維持できるかがカギとなります。
さらに、相手に先制点を許してしまった場合に、相手チームが攻め込んで来ないと時間稼ぎをさせてしまうことになります。
リトリートの効果・有効性
リトリートは、相手チームと比較して、ポゼッション率が劣ることが想定させる場合に採用されることが多い戦術です。バイタルエリアの侵入を阻止する目的で、ゴール前に数的有利を作るため、リトリートが機能していれば、いくら攻め込まれても得点を奪われるリスクは非常に低くなります。
日本代表がワールドカップのアジア予選で格下相手に得点を奪えずに勝ちきれないことが少なからずあります。この時に相手チームはほぼリトリートを戦術として採用しています。つまり、いくら力の差があってもリトリートした相手から得点を奪うことは困難であることが言えます。
リトリートの動画
リトリートが機能すれば、ゴールに迫られるような場面が少なくなります。それが、よく分かるような動画をご紹介します。
ユニフォームが赤色のチームの選手全員が自陣内に引いて、相手チームの選手に対して複数人でプレッシャーをかけていることがよく分かると思います。