「揚げる」の多様な意味と使い分け|調理以外の意外な用法も解説

「揚げる」という言葉、普段からよく使っているけれど、実は意外と奥が深い言葉だと思いませんか?天ぷらを揚げる、船を岸に揚げる、花火を揚げる…同じ「揚げる」でも、使う場面によって意味が大きく変わります。今回は、この多様な意味を持つ「揚げる」について、詳しく解説していきます。

揚げるとは?揚げるの意味

食材を油で調理する、水中から陸に移す、空中に高く上げる、芸者などを呼び寄せるなど、文脈によって複数の意味を持つ動詞

揚げるの説明

「揚げる」は、高温の油で食材を調理する調理法を指す最も一般的な意味のほか、魚を陸に上げる、旗や花火を空中に掲げる、芸者を呼んで遊ぶといった多様な意味を持ちます。同じ読みの「上げる」「挙げる」「騰げる」との使い分けが難しく、それぞれの漢字が持つニュアンスの違いを理解することが重要です。例えば「上げる」は位置や程度を高くする意味が強く、「挙げる」は目立つ形で示すニュアンス、「騰げる」は値段が高くなることを表します。料理以外の場面でも使われることが多く、日本語の豊かな表現力を感じさせる言葉の一つと言えるでしょう。

日本語の同音異義語の面白さを感じさせる言葉ですね。使い分けに迷ったときは、文脈から意味を推測してみると良いかもしれません。

揚げるの由来・語源

「揚げる」の語源は、古語の「あげる」に遡ります。元々は「上へ動かす」「高くする」という意味の中核があり、そこから派生して多様な意味が生まれました。調理法としての「揚げる」は、食材を油の中から「上げる」動作に由来し、江戸時代後期から一般化しました。漁業用語としての「揚げる」は、魚を水中から陸に「上げる」行為を指し、花火を「揚げる」は空中高く打ち上げる様子から来ています。このように、基本義の「上方向への移動」が各分野で専門的な意味として発展したのです。

一つの言葉がこれほど多様な意味を持つなんて、日本語の表現力の豊かさを改めて感じますね!

揚げるの豆知識

面白い豆知識として、天ぷらなどの「揚げ物」文化はポルトガルから伝来したと言われていますが、「揚げる」という言葉自体は純粋な日本語です。また、同じ「あげる」でも、調理の場合は「揚げる」、位置を高くする場合は「上げる」、目立たせる場合は「挙げる」、値段が高くなる場合は「騰げる」と漢字を使い分けるのは日本語ならではの特徴です。さらに、花火大会で「玉屋」「鍵屋」の掛け声は、花火を「揚げる」業者の名前に由来しています。

揚げるのエピソード・逸話

有名な料理人の早乙女哲哉氏は、天ぷらを「揚げる」技術の極意について、「油の温度と食材の水分量のバランスが命」と語っています。彼は50年以上天ぷら一筋で、一秒単位で揚げ時間を調整する職人技で知られています。また、落語家の立川談志は「揚げる」という言葉を使った小話で、天ぷら屋と花火師のやり取りを面白おかしく演じ、同じ「揚げる」でも全く別の意味になる日本語の豊かさを笑いを通して伝えていました。

揚げるの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「揚げる」は多義語の典型例です。プロトタイプ意味論の観点では、「上方向への移動」が基本義であり、そこからメタファーやメトニミーによって意味が拡張されています。例えば、調理法としての「揚げる」は手段のメトニミー、芸者を「揚げる」は行為のメタファーと言えます。また、同じ音韻を持つ「上げる」「挙げる」「騰げる」との意味的なネットワークを形成しており、これらは同音異義語ながら意味的に連続性を持つ興味深い例です。日本語の語彙体系において、基本動詞が文脈によって多様な意味に分化する過程を示す好例と言えるでしょう。

揚げるの例文

  • 1 天ぷらを揚げている最中に電話が鳴って、つい油の温度が上がりすぎてしまった…これ、みんなあるあるですよね。
  • 2 から揚げを作る時、衣がうまくつかなかったり、逆につけすぎたり。なかなか理想のサクサク感に仕上げるのって難しいです。
  • 3 花火大会で「た〜まや〜!」って声を揚げてしまうのは、夏の風物詩。つい童心に返って叫んでしまいます。
  • 4 魚を揚げる時に跳ねる油から必死に逃げながら調理して、キッチンが戦場のようになること、ありますよね。
  • 5 唐揚げを作るとき、揚げたてを我慢できずにつまみ食いしてしまう。あの罪悪感と美味しさの葛藤、共感できます!

「揚げる」の使い分けポイント

「揚げる」とその同音異義語の使い分けは、日本語学習者だけでなく日本人でも迷うことが多いものです。ここでは具体的な使い分けのポイントをご紹介します。

漢字主な使用場面例文
揚げる調理・空中に掲げる・漁業天ぷらを揚げる、花火を揚げる、魚を揚げる
上げる位置・程度の向上・完了手を上げる、成績を上げる、仕事を上げる
挙げる明示・成果・式典例を挙げる、成果を挙げる、結婚式を挙げる
騰げる価格の上昇物価が騰げる

特に調理に関する場合は「揚げる」が専門用語として使われ、それ以外の一般的な上昇動作には「上げる」を使うのが基本です。

揚げ物調理の歴史と文化

日本の揚げ物文化は、16世紀にポルトガルから伝来した南蛮料理が起源と言われています。当初は貴重な油を使うことから高級料理でしたが、江戸時代後期には一般庶民にも広まりました。

  • 天ぷら:衣が薄くサクサクした食感が特徴
  • から揚げ:醤油ベースの下味が特徴
  • フライ:パン粉を使用した洋風揚げ物
  • 精進揚げ:寺院で発展した野菜中心の揚げ物

油の温度一つで、食材の持ち味が引き立つも台無しになるも決まります。揚げ物は油との対話です。

— 料理研究家 土井善晴

安全な揚げ物調理の注意点

揚げ物調理では火傷や火災のリスクがあるため、以下の点に注意が必要です。特にキッチン初心者の方は基本を守ることが大切です。

  1. 食材の水分はしっかり拭き取る(油はね防止)
  2. 油の量は鍋の1/3まで(溢れ防止)
  3. 揚げている最中は絶対に目を離さない
  4. 消火用具を近くに準備しておく
  5. 使用後の油の処理は十分に冷めてから

また、揚げカスはこまめに取り除き、油の劣化を防ぐことも美味しい揚げ物作りのコツです。油の交換目安は、色が濃くなったり、嫌な臭いがしたりしたときです。

よくある質問(FAQ)

「揚げる」と「上げる」の違いは何ですか?

「揚げる」は主に食材を油で調理する場合や、旗や花火を高く掲げる場合に使います。一方「上げる」は、物を高い位置に移動させる、成績や評価を向上させるなど、より広い意味で使われるのが特徴です。調理の場合は「揚げる」が専門的ですよ。

天ぷらを上手に揚げるコツはありますか?

衣は冷水でさっくり混ぜ、油の温度は180度前後に保つのがコツです。食材の水分をよく拭き取り、少量ずつ揚げるとベター。揚げたてを網の上で油を切ると、サクサク食感が長持ちしますよ。

英語で「揚げる」はどう表現しますか?

調理法としての「揚げる」は「deep-fry」、旗を揚げる場合は「raise a flag」、花火を揚げる場合は「set off fireworks」など、用途によって表現が変わります。状況に応じて適切な動詞を使い分けましょう。

魚を「揚げる」という場合、どんな意味になりますか?

漁業では、魚を網から船上に揚げる、または水揚げすることを指します。調理法としてではなく、漁獲作業の一環として使われる専門用語です。港で「マグロが揚がった」などと使われますね。

「芸者を揚げる」とは具体的にどういう意味ですか?

宴席などで芸者を呼び寄せ、接待や芸を披露してもらうことを指します。主に花街や料亭などで使われる業界用語で、客が芸者を招いて場を盛り上げる行為を表します。