「より」とは?意味や使い方をご紹介

起点を表す「より」や比較を意味する「より」、よりによっての「より」や、よりを戻すの「より」。このように、「より」にはたくさんの用いられ方があります。本記事では「より」の意味や使い方、「から」との違いなどを例文を用いつつわかりやすく解説します。

目次

  1. 「より」とは
  2. よりの意味:寄り
  3. よりの意味:選り
  4. よりの意味:縒り(撚り)
  5. よりの意味:(副詞)より
  6. よりの意味:(助詞)より
  7. 「より」と「から」

「より」とは

「より」は、漢字や品詞によって意味や用法が変わります。詳しい意味は後述するとして、まずはその分類を確認しておきましょう。

  • 寄り
  • 選り
  • 縒り(撚り)
  • (副詞)より
  • (助詞)より

よりの意味:寄り

「寄り」と表記する「より」は、以下のような意味を持ちます。

  • 寄ること、集まること、その具合
  • ~に近い方

またこれ以外に、「相撲で四つに組んで相手を土俵際に押すこと」「カメラを被写体に近づけること」も「寄り」といいます。

【例文】
  • 今日は人の寄りが悪い
  • そちらではなく、海寄りの家の方です
  • すこし女性寄りの意見だね

よりの意味:選り

「選り」は「選択すること、よいものや好きなものを選ぶこと」を指します。選びに選び抜くことを意味する「選りに選る」や、「選り取り見取り」「粒選り」のように用いられます。

【例文】

  • 選りに選ってプレゼントがこれか
  • 今日は新鮮な魚が選り取り見取りだ
  • 粒選りの品がお目見えした

よりの意味:縒り(撚り)

「縒り」あるいは「撚り」と書く「より」は、「よること、よじること、よったもの」を意味します。一度別れた男女が再び一緒になる「よりを戻す」の「より」もこれです。

また「紙縒り(こより)」は、細長く切った和紙をよって紐状にしたものです。現代ではティッシュペーパーで作って、寝ている人の鼻をこちょこちょする際に使用したりしますが、元は神に捧げる神聖なものだったようです。ちなみに武士や力士が髪を結うのに使う紙縒りは「元結(もとゆい)」といいます。

よりの意味:(副詞)より

副詞の「より」は、「もっと、いっそう」という意味で使用されます。

【例文】

  • よりよい社会を築く
  • より一層の努力をする

よりの意味:(助詞)より

助詞の「より」には、以下の通りたくさんの意味や使い方があります。

  1. 動作の行なわれる地点、経由地
  2. 動作の起点の事物や人、時
  3. 動作の手段、方法
  4. 比較の基準
  5. 範囲の限定
  6. 場面の転換
  7. ただちに、すぐに

このうち、3と6と7の「より」は現在はほとんど使用されません。

(助詞)よりの例文

【1.動作の行われる地点、経由地】

  • 海津城より西に進路を取り妻女山を目指す
  • 少し開いた窓の隙間より爽やかな風が吹き込んでくる

【2.動作の起点の事物や人、時】
  • これより会議を始める
  • 校長先生よりお話があります

【3.動作の手段、方法】
  • つぎねふ山背路(やましろじ)を他夫(ひとづま)の馬より行くに己夫(おのづま)し歩(かち)より行けば/『万葉集』
  • ある時思い立ちて、ただひとり、徒歩(かち)より詣でけり。/『徒然草』

【4.比較の基準】
  • 小さいのより大きいのがいい
  • 君より僕の方が偉い
  • 落第になるよりはいい

【5.範囲の限定】
  • 真実を知るよりほかない
  • もはや祈るよりない
  • 怒られるより仕方ない

【6.場面の転換】
  • 命婦かしこにまかでつきて門引き入るるより、けはいあわれなり/『源氏物語』

【7.ただちに、すぐに】
  • また、時の間の煙ともなりなんとぞ、うち見るより思わるる。/『徒然草』
  • 御前を罷出(まかりい)でらるるよりして流るる涙はつきせぬに/『天草本平家物語』

「より」と「から」

「より(助詞)」の類語に「から」があります。「より」も「から」もほとんど同じ意味を持っていますが、「から」には比較の意味合いがありません。「リンゴよりミカンが好き」とは言いますが、「リンゴからミカンが好き」とは言いませんよね。

また、多義語ゆえに「より」は誤解を生んでしまう場合があります。たとえば「A君より好きな人を教えてと言われた」という文章には、以下の2通りの解釈があります。

  • A君よりも好きな人を教えてと言われた(比較)
  • A君に好きな人を教えてと言われた(起点)

このような食い違いを防ぐために、現在「より」は比較を、「から」は起点を表す際に使用するのがよいとされています。

公用文では明確に『時および場所の起点を示すには「から」を用いて、「より」は用いない。「より」は比較を示す場合にだけ用いる』と定められています。


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