「多い」の意味
「多い(おおい)」は数や量が基準より大きい様子、たくさんある様子を言う言葉です。細かく見ていくと、以下のとおり大まかに意味を分けることができます。
- ものの数や量が大きい
- 全体に占める割合や度合いが大きい
- 頻度(ひんど)や確率が大きい。よくある。ありがち。
その他、現在では使うことが減った意味合いもあります。
- (人の性格について)その傾向が強いこと。「血の気が多い」「芝居っ気が多い」
- (古い言い方で)年上。年長。「私は妻より年が三つ多い」
「多い」の使い方
ものの数や量が大きい
- メスよりオスの方が数が多い
- この店の定食は量が多い
- 彼は芸能界に知人が多い
- 趣味が広く気が多い
- 苦労が多い
- 情(こころ)つけずて思ふ日そ多き(思い悩む日が多い)/『万葉集』
全体に占める割合や度合いが大きい
- 水気が多い
- 糖分が多い
- 教は子供連れが多い
- 源氏物語「多くはわが心もみる人からをさまりもすべし(たいていは自分の浮気心も妻の心がけしだいだ)」
頻度(ひんど)や確率が大きい
- この地方は地震が多い
- 夕食は魚料理が多い
- 中断する場合も多い
- 子供に多い病気
「多い」の類語
「多い」の類語は「たくさん」「いっぱい」「夥しい(おびただしい)」になります。「多い」がもっとも広く一般に使うのに対し、「たくさん」「いっぱい」は日常の話し言葉でよく使い、改まった文章では使いません。
「たくさん」は漢字で沢山と書き、多い意味の他に「酒はもうたくさんだ」というように、十分という意味でも使います。「いっぱい」は一杯と書き、あふれそうなほど物が満ちている様子のことで、やはり多い意味の他に「腹いっぱいだ」というように、限度すれすれの状態を表す場合もあります。
「夥しい(おびただしい)」は多いの他、程度が激しいという意味もあります。評価のプラスマイナスは関係ないことになっていますが、なんとなく、マイナスの望ましくない場合に使うことが多いようです。
その他、慣用句や日常的な言い回しとして、以下のように「多い」を表します。それぞれニュアンスで少しずつ異なっています。
飽きる
後に「~ほどある」が付きます。
- 飽きる
- 嫌という
- 嫌になる
- うんざりする
- おくび(げっぷ)に出る
- 有り余る
- うなる
- 売る
- 腐る
- 十指(じゅっし)に余る
- 掃(は)いて捨てる
驚く
後に「~ほどある」が付きます。
- 驚く
- あきれる
- びっくりする
- 目を見張る
- 数え切れない
- 数が知れない
- 数に限りがない
数がおびただしい
後に「~ほどある」が付きます。
- 降る
- 星の数
- 枚挙(まいきょ)に暇(いとま)がない
- 升(ます)で量る(はかる)
- 目を突く(すぐ目に入る)
- 山ほど
後に「~数に上る」が付きます。
- 数え切れない
- 巨大な
- 甚大(じんだい)な
- 絶大(ぜつだい)な
- 大変な
- 多大(ただい)な
- 莫大(ばくだい)な
- 膨大(ぼうだい)な
- 天文学的(てんもんがくてき)な
後に「~いる」「~ある」が付きます。
- うじゃうじゃ
- うようよ
- ごろごろ
- わんさか
- わんさと
- ごまんと
- うんと
- たんと
四字熟語
後に「~を数える」が付きます。
- 多士済々(たしせいせい)
- 無慮数万(むりょすうまん)
- 数千数億(すうせんすうおく。四字でなく二字で「数千」「数億」の場合もあります)
「多い」の英語
「多い」の英語表現は、many(数が多い)、much(量が多い)、plenty of、a lot of、lots of(数、量どちらの場合も言う)などです。
【例文】
- それが好きな人は多い…Many people like it.
- あなたの作文には誤りがだいぶ多い…There are quite a few mistakes in your composition.
- 今年は雪が多い…There has been a lot of snow this year.
- こういう種類の草はこの地方にきわめて多い…This kind of grass abounds in this district.
- 多くて三日です…It'll take three days at the longest.