「まとめる」とは
「まとめる」の意味
「まとめる」(纏める)には以下の4つの意味があります。
- ばらばらになっているものを整った状態にする[整頓]
- 一つに合わせる[総括]
- 一つのものとして成立させる[成立]
- 仲を取り解決する[仲裁]
次の項目から、1.整頓、2.総括、3.成立、4.仲裁のカテゴリ別に、使い方と類語をご紹介します。
1.整頓の「まとめる」
使い方
<例文>
- 持ってきた荷物はここにまとめて置くように。
- 成績の良いAさんは、ノートをまとめるのが上手だ。
類語
【片付ける】
「片付ける」にはいくつかの意味がありますが、「まとめる」に類するのは、散らかっている場所をきれいに整える、散らかっている物や邪魔なものを取り除いて納まるべき所にきちんと納めるという意味です。
「片付ける」には整えるだけでなく、特定の場所に納めるといった動作も含みます。一方で、「まとめる」は、バラバラなものを整えることしか表していません。
<例文>
- ごちゃごちゃだった机の上をきれいに片付けた。
- 読み終わった本は本棚に片付けなさい。
【整理】
「整理」にも複数の意味がありますが、「まとめる」に近いのは、物が乱れている状態をきちんと整えることという意味です。
「整理」は、「心の整理をつける」といった使い方をすることがあります。「まとめる」も、2の意味においてですが、「意見を纏める」のように抽象的なものに対しても用いられます。
<例文>
- 古い書類を整理していたら、無くしたと思っていた写真を見つけた。
- 頭の中を整理するために、考えついたことはノートに書き出している。
2.総括の「まとめる」
使い方
<例文>
- 過去のデータをまとめて資料を作成した。
- 国民年金は一年分をまとめて支払っている。
類語
【括る】(くくる)
「括る」は多義語ですが、「まとめる」に近いのは、物事を上手に終わらせる、バラバラのものを一つにするという意味です。前者の「括る」は、全体を見通したり、これまでの経緯を踏まえて収まり良くすることを表します。
しかし、「まとめる」は不統一なものを一つの形にすることを表すだけで、全体を見る、経緯を踏まえるといった含みはありません。他方、後者の「括る」は「まとめる」とほぼ同じと言えるでしょう。
<例文>
- 校長は、終業式の挨拶をアインシュタインの言葉で括った。
- 「不登校」という括りで考えるのは止めて、生徒一人一人の事情に配慮すべきだ。
【集約】
「約」の字義の一つは、縮める、締め括ることです。「集約」とは、集めて締め括る、つまり、物事を整理して一つにすることですから、「まとめる」とほぼ同じ意味を表しています。
<例文>
- 各地の調査結果を集約して報告書を作成した。
- 彼のその一言には、彼の複雑な心境が集約されているように感じられた。
3.成立の「まとめる」
使い方
<例文>
- 論文をまとめるために多くの資料を参考した。
- 彼女はアイディアをまとめるときにはよく散歩に出る。
類語
【大成】(たいせい)
「大成」は多義語ですが、資料などを沢山集めて一つの秩序を持たせることという意味もあります。これは「集大成」と言い換えることもできる、「まとめる」に近い意味です。
<例文>
- 彼女は仕事の傍ら、念願だった文学小説を大成することができた。
- 彼はその分野の研究に貢献したが、自分の理論を大成することなく生涯を閉じた。
4.仲裁の「まとめる」
使い方
<例文>
- 双方の主張をうまくまとめることができた。
- 部内の意見をまとめておくように指示された。
類語
【調える】(ととのえる)
乱れのないようにキチンとすることは「整える」と書きます。「調える」は、必要なものを取りそろえる、交渉などを成立させる、点検して調整するという意味です。2番目の意味は「まとめる」に似ていますね。
<例文>
- 彼の尽力で商談が調い、彼はまた株を上げた。
- ようやく調えた縁談が破談になってしまった。
【取り成す/執り成す】(とりなす)
「取り成す/執り成す」には、対立するものの間に立って仲直りさせる、仲介するなどの意味があります。「まとめる」よりも、複数の人や組織の間に入るという含みが強い言葉です。
<例文>
- 部長と課長の間をうまく取り成すことができれば上出来だ。
- Aさんに取り成してもらって、B社に取材できることになった。