「次第点」とは?意味や使い方をご紹介

「次第点」という言葉をご存知でしょうか?近年見かける機会が多くなっていますが、これは誤用です。また、普及点という言葉もみられますがこれも誤りです。「次第点」は「及第点」と同じ意味で使われていますので、この記事では「及第点」の意味なども説明しています。

目次

  1. 「次第点」とは
  2. なぜ「次第点」が使われるようになったか
  3. 及第点とは
  4. 及第点の使い方
  5. 及第点の類語
  6. 落第点とは
  7. 「次第点」以外の間違えやすい言葉

「次第点」とは

「次第点」は(しだいてん)と読みます。「次第」は、「順序や、現在に至るまでの経緯」という意味で、「点」は「試合や試験の得点」という意味です。

合わせると「次第点」は、「順序の点数」あるいは「現在に至るまでの点数」という意味になり、日本語として不自然になってしまいます。辞書には載っていない言葉なので「次第点」は誤用です。

普及点とは

「次第点」ほど使用される頻度は高くないですが、「普及点」(ふきゅうてん)という言葉があります。

「普及」は「一般に広く行きわたること」なので、「普及」と「点」を合わせると「一般に広く行きわたる点数」となります。これも不自然であり、間違った言葉です。

なぜ「次第点」が使われるようになったか

次第点が使われるようになった理由は「及第点」の及(きゅう)の字を(し)と読み間違えて(しだいてん)となり、「次第点」という漢字に変換されたという説が有力です。

誤用している文章の文脈を見ると、「次第点」は「及第点」と似た意味で使用されており、誤用としては頻度が高めとなっています。

「次第点」が使われているのを見た人が「正しい日本語である」と受け取ってしまうと、間違った使い方が広まってしまいます。使わないようにしましょう。

及第点とは

「及第点」の「及第」は「試験や検査に合格すること」で、「及第点」とは「試験に合格した点数」という意味です。

ですが、日常生活ではもう少し幅を持たせて使用されています。例えば、「ギリギリの成績で合格した」あるいは、「おおむね良い結果だ」など、悪い結果ではないけれど、次回はもう少し上を狙えるだろうといったニュアンスです。

「及第点」は人や物を評価する時に使う言葉ですので、目上の方には失礼にあたります。上司や先輩などの対して使用するのは控えたほうが良いでしょう。

「及第点」とは?意味や使い方をご紹介

及第点の使い方

「及第点」は試験や検査だけに限らず、作業や仕事の出来具合、スポーツに対しても使われることがあります。
【例文】

  • 今回のテストは、70点取れれば及第点といえるだろう。
  • 試験が終わってからミスをしていたことに気が付いたが、何とか及第点をとることができた。
  • 昨日の試合はまずまずの出来で、及第点の成績を残した。
  • 徹夜して試験にのぞんだが、及第点には及ばなかった。

及第点の類語

  • それ相応……つりあいがとれていること、ふさわしいこと(例:撮影にに協力してくれたら、それ相応のお礼はするつもりだ)
  • 悪くない出来……良くもないけれど悪くもない、そこそこ(例:このオムライス、初めて作ったにしては悪くない出来だね)
  • 一人前……技術などが、ある一定の基準に達していることを指す(例:指示される前に、自分で考えて仕事ができるようになれば一人前といえるだろう)
  • 満更(まんざら)でもない……必ずしも悪くはない、あるいはかなり良い(例:「その髪型、似合っているね」と、友人を褒めると「ちょっと切りすぎちゃってさ」と答えながらも、満更でもない様子だった)

落第点とは

「及第点」の対義語は「落第点」です。「落第」とは「不合格、または一定の基準に達していない」という意味です。以下の例文のように試験以外でも使われることもあります。

【例文】

  • 普通自動車免許の学科試験で落第点を取った。
  • 上司から資料をまとめるようにと指示され、提出したら落第点だと言われた。

「次第点」以外の間違えやすい言葉

「次第点」のように、誤用が多い言葉はほかにもあります。以下にまとめました。

  • ふいんき……正しくは、ふんいき「雰囲気」、その場を満たしている空気という意味。
  • がいしゅつ……きしゅつ「既出」、意味は、すでに提示されていること。
  • いちよう……いちおう「一応」、完全ではないが最低の要件は満たしている様。
  • げっきょく……つきぎめ「月極、月極め」一か月を単位として契約することを表す。
  • うるおぼえ……うろおぼえ「うろ覚え」ぼんやりと覚えていること。不確かな記憶。


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