「どん判金ドブ」とは
「どん判金ドブ」は、2010年にテレビ東京で放送された番組、「カンブリア宮殿」内にて、発言されたのを初出とするインターネットミーム(流行語)です。
これは「どんな判断や。金ドブに捨てる気か」(字幕スーパーでは「どんな判断だ。金をドブに捨てる気か」)を略したものであり、ほかに「どんな判断や(だ)」や「どん判」などとも略されます。
意味としては、主に会社の先輩や上司が、後輩や部下の予算が絡んだ判断(要求)に対して、ダメ出しを行うものとなりますが、インターネット上では金銭の絡むところであれば際限なく使われる傾向があります。
稲船敬二と川田将央とは
「どん判金ドブ」を発言したのは、「ロックマン」シリーズの開発で有名なゲームデザイナーであり、当時は株式会社CAPCOMの役員を勤めていた「イナフキン」こと「稲船敬二(いなふね・けいじ)」です。
発言の対象となったのは「バイオハザード」シリーズの開発で活躍し、番組内では「カリスマ開発者」として扱われていた、同CAOCOM社の「川田将央(かわだ・まさちか)」です。
「どん判金ドブ」は、新作ゲームの開発承認会議において22億円の予算を要求した川田に対し、役員の稲船がきつい口調でたしなめる、という形で紹介されました。
「どん判金ドブ」の真相
しかし実際のところ、稲船の発言の趣旨は、番組で編集された内容とは違っていたようです。
稲船はすでに22億という予算については了解しており、そこに対し文句をいうつもりはなかったのですが、川田がプレゼンの折、すでに制作済みだったプロトタイプを出すことを控えたために怒った、というのが真相のようです。
つまり、「(出来上がったプロトタイプを出さないなんて)どんな判断だ」、「(プロトタイプの開発にかかった)金ドブに捨てる気か」という意味内容であり、その裏には「承認されなかったら、企画自体がボツになるため、隠す意味などまったくない。今出せる全力で勝負すべき」という思いがあったようです。
この「どん判金ドブ」にからむ一連の流れによって、稲船は「出る杭を叩く上司」という否定的なイメージが拡散してしまうことになりました。が、当人はむしろこれを持ちネタにしているのか、自作のゲームの中や、自著のタイトル(『どんな判断や!』光文社刊、2011年)として「どん判金ドブ」を取り上げています。
「どん判金ドブ」の使い方
「どん判金ドブ」の元々の使われ方は、次のようなものでした。
稲船敬二
(役員)
どんな判断や
稲船敬二
(役員)
金ドブに捨てる気か
稲船敬二
(役員)
何千万もかかってんねぞこのプリプロ。(ポンポンポンと何かを叩く音)
川田将央
(開発者)
……
特徴としては、稲船によるコテコテの関西弁が挙げられます。字幕スーパーは標準語のものとなっていますが、関西弁による叱咤はどこか啖呵を切るようでもあり、実際に発音された際の印象はより強烈なものになると言えるでしょう。
「どん判金ドブ」の利用例
「どん判金ドブ」は稲船敬二というキャラクターに根ざしたインターネットミームという感じがあるので、日常的に使うのはなかなか難しいですが、あえて利用するとすれば以下のようなものが挙げられます。
- お偉方は必要なところの予算ばかり削って、目立つところにばかり金を回す。まさに「どん判金ドブ」だわ。
- 今更プロジェクトを閉鎖するなんてできません。これにどれだけ金額が注ぎ込まれているか。「どん判金ドブ」ですよ。