「甚だしい」とは?意味や使い方を分かりやすく解説

「甚だしい」という言葉、聞いたことはあるけれど、具体的にどんな意味でどう使うのかよくわからない…そんな方も多いのではないでしょうか?実はこの言葉、日常会話ではあまり使われないものの、ビジネスシーンや文章で使われると非常に印象的な表現なんです。

甚だしいとは?甚だしいの意味

程度が普通をはるかに超えていること。特に悪い方向に極端である様子を表します。

甚だしいの説明

「甚だしい」は、物事の程度が並外れて大きいことを示す形容詞です。元々は良い意味でも使われていましたが、現代では主に否定的な文脈で用いられることが多い言葉です。例えば「勘違いも甚だしい」や「損失が甚だしい」のように、通常の範囲を超えた悪い状態を強調する際に使われます。また、この言葉は質的な異常さを表すため、数量的な多さを表現する際には別の言葉(例:夥しい)を使う必要があります。語源的には「甚」という漢字が食欲や情欲などの過剰な欲望を表していると言われ、そこから「度を超している」という意味が派生しました。

なかなか使う機会が少ない言葉ですが、適切に使えると表現の幅が広がりますね!

甚だしいの由来・語源

「甚だしい」の語源は漢字「甚」に由来します。この字は「甘」(あまい)と「匹」(ひき、つれあい)から成り、食欲と情欲の両方を表すと言われています。古代中国では、これらの欲望が度を超すことが「甚だしい」状態と考えられていました。また別の説では、「甚」の字自体がかまどと鍋を象っており、食べ物を調理する際の「度を越した熱さ」を表現していたとも伝えられています。いずれにせよ、欲望や状態が通常の範囲を大きく超えている様子を表す言葉として発展してきました。

古くから使われてきた言葉だからこそ、深い歴史とニュアンスがあるんですね!

甚だしいの豆知識

面白いことに、「甚だしい」は時代とともに意味が変化してきた言葉です。平安時代頃までは良い意味でも使われていましたが、室町時代以降は次第に悪い意味合いが強まりました。現代ではほぼ例外なく否定的な文脈で使用されます。また、この言葉は書き言葉としての性格が強く、日常会話で使われることは稀です。ビジネス文書や改まった場面で用いられることが多く、使用するだけで文章の格式が高まる効果もあります。

甚だしいのエピソード・逸話

作家の夏目漱石は『こゝろ』の中で「甚だしい」を効果的に使用しています。主人公が友人への罪悪感に苦しむ場面で「自分はその時甚だしい不安に襲われた」と描写し、心理的苦悩の深さを表現しました。また、政治家の原敬は日記の中で政敵の行動を「甚だしい不見識」と批判した記録が残っており、この言葉が強い非難の意図を込めて使われていたことがわかります。近年では、ある有名経営者が自社の不祥事について「甚だしい怠慢があった」と謝罪会見で使用し、言葉の重みが注目されました。

甚だしいの言葉の成り立ち

言語学的に見ると、「甚だしい」は日本語の形容詞の中でも「程度形容詞」に分類されます。これは物事の程度や度合いを表す特徴を持ち、比較表現や程度副詞との共起が可能です。また、この言葉は「語彙的複合性」を持ち、漢字の持つ意味と和語の文法体系が融合した例として興味深いです。歴史的には上代日本語から存在し、『万葉集』にも類似の表現が確認できます。現代日本語では、同じく程度を表す「酷い」や「凄まじい」との使い分けが重要で、文語的で格式ばった場面での使用に適していると言えます。

甚だしいの例文

  • 1 週末にまとめてやろうとためていた家事が、気づけば手がつけられないほど甚だしい量になっていた。
  • 2 久しぶりに会った友人が、自分の記憶と実際の外見の差が甚だしくて驚いた。
  • 3 スマホの通知を後で確認しようと思っていたら、未読の数が甚だしいことになっていた。
  • 4 ダイエット中なのに、コンビニでついお菓子を買いすぎる自分への甘さが甚だしい。
  • 5 仕事で疲れているはずなのに、夜更かしして動画を見てしまう矛盾が甚だしい。

「甚だしい」と類義語の使い分け

「甚だしい」にはいくつかの類義語がありますが、微妙なニュアンスの違いがあります。適切な場面で正しく使い分けることで、より正確な表現が可能になります。

言葉意味使用場面特徴
甚だしい程度が普通をはるかに超えている格式ばった文章、ビジネス文書主に悪い意味、質的な異常さを強調
酷い程度がひどい、耐えがたい日常会話、主観的な表現話し言葉的、感情的なニュアンスが強い
夥しい数量が非常に多い数量的な多さの表現数えられるものに使用、悪い意味が多い
著しい目立ってはっきりしている良い悪い両方の文脈変化や差異が明確な場合に使用

特に「甚だしい」と「酷い」の使い分けは重要です。公的な文書では「甚だしい」、個人的な感想では「酷い」を使うのが適切です。

使用時の注意点とよくある間違い

「甚だしい」を使う際には、いくつかの注意点があります。これらのポイントを押さえることで、より自然で正確な表現ができるようになります。

  • 数量的な表現には使えない(例: 「甚だしい人数」→誤り、「夥しい人数」→正しい)
  • 良い意味では基本的に使わない(例: 「甚だしい才能」→不自然、「卓越した才能」→自然)
  • 話し言葉ではあまり使わない(格式ばった印象を与えるため)
  • 副詞形の「甚だ」と形容詞形の「甚だしい」を混同しない

「甚だしい」は、あくまで質的な異常さを表す言葉である。数量的な多さを表現する際には、「夥しい」などの別の表現を選ぶべきだ。

— 日本語学者 佐藤亮一

歴史的変遷と現代における位置づけ

「甚だしい」は長い歴史の中で意味合いが変化してきた言葉です。古代から現代までの変遷を理解することで、この言葉の本質を深く理解することができます。

  1. 上代~中世: 良い意味でも悪い意味でも使用されていた
  2. 近世: 次第に悪い意味合いが強まっていく
  3. 近代: 文学作品で多用され、格式高い表現として定着
  4. 現代: ほぼ例外なく否定的な文脈で使用される

現代では、ビジネス文書やニュース報道など、公的な場面でよく使われる言葉です。特に謝罪文や問題報告書など、重大な事態を伝える際に効果的に用いられます。

よくある質問(FAQ)

「甚だしい」は良い意味でも使えますか?

現代日本語では、「甚だしい」はほとんど悪い意味で使われます。元々は良い意味でも使われていましたが、時代とともに否定的な文脈での使用が主流になりました。例えば「甚だしい努力」とは言わず、「並外れた努力」など別の表現を使うのが適切です。

「甚だ」と「甚だしい」の違いは何ですか?

「甚だ」は副詞で「非常に」や「大変」と同じように使われ、後に動詞や形容詞が続きます。一方「甚だしい」は形容詞で、名詞を修飾したり、述語として使われます。例えば「甚だ残念」は副詞的用法、「損失が甚だしい」は形容詞的用法です。

ビジネスシーンで「甚だしい」を使うのは適切ですか?

はい、ビジネス文書や改まった場面では「甚だしい」はよく使われます。特に謝罪文や報告書で「甚だしい不手際」「甚だしい誤解」など、問題の重大さを強調する際に適切な表現です。格式ばった印象を与えることができます。

「甚だしい」と「酷い」はどう使い分ければいいですか?

「甚だしい」はより格式ばった書き言葉的な表現で、客観的な重大さを表します。一方「酷い」は話し言葉的で、主観的な感情が込められることが多いです。ビジネス文書では「甚だしい」、日常会話では「酷い」を使う傾向があります。

「甚だしい」を使った肯定的な表現はありますか?

現代ではほとんどありませんが、古い文学作品などでは「甚だしい栄光」のような肯定的な使用例も見られます。ただし現在では、「並外れた」「卓越した」「非凡な」など、別の表現を使うのが無難です。