「前人未踏」とは
「前人未踏」は、「前人未到」というもう一つの漢字表現をもつ四字熟語です。意味は、「今まで誰も足を踏み入れていないこと。誰も到達していないこと。」です。新聞やテレビのニュースなどでよく使われ、耳にする機会も多いです。しかし、二つの漢字表現をもっているため、どちらを使用するか迷うことが多いのではないでしょうか。
次では、この四字熟語の中の、「未踏」と「未到」を解説しながら、その使い方や例文を紹介します。
「前人未踏」と「前人未到」
「前人未踏」と「前人未到」との違いはあるのでしょうか?二つの違いについてや例文を紹介します。
使い分けについて
両者の違いは、四字熟語を構成する「未踏」と「未到」にあります。「未踏」は、「まだ、実際に足を踏み入れていないこと。」、「未到」は、「まだその地点まで行っていないこと。」という意味です。国語辞典などには、両者ともに、「ぜんじんみとう」の四字熟語として併記されているため、どちらを使用してもかまいません。
しかし、新聞の用字用語においては、「みとう」の取り扱いについて、以下のような、使い分けをされています。
- 「未踏」━━土地や場所に足を踏み入れていないこと。
- 「未到」━━記録や業績などに達していないこと。
新聞等の報道関係では、このような使い分けを行っているため、それに倣(なら)ったような使い方をする場合が多いです。
例文
- 探検隊は、ついに、前人未踏の奥地へ足を踏み入れた。
- 彼らは、これから、前人未踏の山へ登ろうとしている。
- 彼は、オリンピックで前人未到の大記録を達成した。
- 何年もかけて、前人未到の発明を成し遂げた。
「前人未踏」と「人跡未踏」
「人跡未踏」という四字熟語があります。この言葉は、「今まで人が足を踏み入れたことがないこと。」という意味です。「前人未踏」の類義語となっています。「人跡」と「未踏」を合わせることによって、より具体的な表現となっています。
この四字熟語では、「人跡未到」という表現はありません。「前人未踏」は、「前人未到」と併記され、どちらの使い方も、可能となっています。しかし、「人跡未踏」は、「跡」と「踏」という漢字が相関関係にあるため、「未踏」に限定されています。
「前人未踏」や「前人未到」が使われた会見やコメント
「前人未踏」や「前人未到」が使われた会見やコメントはいくつかあります。次により、紹介します。
羽生結弦の会見
2018年、平昌冬季五輪フィギュアスケート男子シングルスで五輪連覇を遂げた翌日の会見内容です。
羽生結弦
羽生善治によせられたコメント
2017年、羽生善治将棋棋士は、「永世七冠」を達成した。その際に、よせられた加藤一二三将棋棋士からのコメントです。
加藤一二三
AKB48の「前人未踏」
AKB48の楽曲の中に「前人未踏」という題名の曲があります。この曲は、AKB48 team a 6th stage 『目撃者』のアルバムに収録されています。
AKB48 『前人未踏』
この歌詞にあるとおり、前人未踏の愛の奥地を目指すさまを表現しています。
「前人未踏」のまとめ
この四字熟語は、二つの漢字表現をもっていることを紹介しました。「踏」と「到」、この一字の意味合いでニュアンスが変わってきます。このように、四字熟語を構成する漢字は、一字一字が他の漢字との相関性をもち、深い役割を担っています。
2020年、東京オリンピック・パラリンピックにおいて、日本人選手の前人未到の記録樹立に期待したいですね。・