自宅警備員とは?
自宅警備員とは、いわゆる引きこもりやニートのことを指します。かつての彼らは社会の水面下で細々と存在していましたが、インターネットの普及などによって現在では社会問題の一つとして大衆に認知されるまでになりました。
そのような現在において、引きこもりやニートという呼称では悪いイメージが先行してしまうため、インターネット上で「自宅警備員」というスラングが生まれました。
現在の日本にはどれくらいのニートがいる?
ではいったい現在の日本にはどのくらいの引きこもりやニートが存在しているのでしょうか。
厚生労働省によると、引きこもりやニートの定義を「仕事や学校にも行かず、家族以外との交流がほとんどなく、6か月以上つづけて自宅に引きこもっている状態」としています。
内閣府の調査では、平成28年の引きこもりやニートの数は全国で54~57万人に上っていることがわかりました。この統計では39歳以下の人を対象としているため、40歳以上の人も含めるとさらに数が増えることが予想されています。
自宅警備員は何をしているのか
繰り返しになりますが、自宅警備員は実際に自宅を警備する職業ではなく、引きこもりやニートの別称です。
彼らの多くはインターネットやゲーム、読書、ゴロゴロして過ごすなど、家から出ることなく生活しています。外出するのは人と会わずに済む近場での要件があるときのみです。
このように、自宅を守るという生産性よりも、電気代やガス代、食料を費すといった消費活動の方が多いのが現状です。
自宅警備員の家族
自宅警備員の一番身近な存在はその家族です。高校や大学時を卒業してから引きこもりになる人も多いことから、ほとんどの人は結婚していないことが考えられるため、おもに両親が一番身近な存在といえそうです。
ひとり暮らしをしている自宅警備員は親をはじめとする親類からの仕送りで生計を立てていますが、長期にわたって仕送りをしてくれるのは珍しいケースだと考えられます。
したがって、ほとんどの自宅警備員は家族と同居しています。働きにも行かず毎日家にいる彼らを、家族は疎ましく思っている場合が多いようです。生産性がないことによるお金の問題、老後の問題、将来の問題などはもはや自宅警備員だけの問題では済まず、その家族にまで影響を及ぼしています。
自宅警備員の背景
引きこもりやニートには、発達障害を抱えた人が多いというデータがあります。発達障害とは、自閉症、アスペルガー障害、回避性人格障害、ADHDなど生まれつきの疾患のことです。
彼らは障害の特徴のひとつとして挙げられるデリケートな性格が災いして、学校や職場で馴染めず、たとえ就職してもすぐに辞めてしまうことが多いようです。
周囲からはダメな奴とのレッテルを貼られ、人と同じことができない自分に嫌気がさし、そんな社会に疲弊した彼らが誰からも傷つけられない安らぎの居場所を自宅に求めることは、半ば必然的なことといえるでしょう。
しかし労働もせず家に引きこもっていることで、家族からの圧力、いずれ来る親の介護やそのための資金、親が亡くなったあとの生活費や働き口、自身の老後など常に不安を感じています。もはや自宅でさえも落ち着ける場所ではないのです。
自宅警備員を増やさないために
自宅警備員を増やさないためには、周囲のサポートと理解が必要です。労働していないことを頭ごなしに批難するのではなく、その人が自宅警備員になった背景を理解し適切なアドバイスをしましょう。
近年では学校や会社でもさまざまな支援が行われています。広く認知されていることでカウンセラーへの相談もしやすくなり、雇用形態についてもその人に合った働き方が選択できるようになりました。
場合によっては県の相談窓口や心療内科を利用するなど、ひとりで抱え込まないことが自宅警備員を増やさないことにつながります。