「露知らず」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは「露知らず」という言葉をご存じでしょうか。会話ではなく、書き言葉で多く見られるものかもしれません。「露」は水滴を意味します。この記事では、「露知らず」の意味や使い方を、「露」という言葉に焦点を当ててご紹介します。

目次

  1. 「露知らず」とは
  2. 「露知らず」の例文と使い方
  3. 「露」について
  4. 「露」が含まれる言葉

「露知らず」とは

「露(つゆ)知らず」とは、「少しも・まったく知らない」ことを表す言葉です。「露」を「はかないこと、わずかなこと」にたとえ、そのあとに「知らず」という打ち消しの語を伴うことで、このような意味になります。

また、同義語に「露ほども」があります。こちらも同じく、「露ほども知らない」「露ほども疑わない」など、「少しも~ない」という意味で使います。

「露知らず」と「いざ知らず」

「露知らず」と似たような言葉に、「いざ知らず」というものがあります。混同しやすいですが、こちらは「~かどうかは知らないが」「~かはともかく」を表します。

使用例としては、「人のことは―私は反対だ」「子どもなら―成人として恥ずかしい」などがあります。「いざ知らず」に関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。

「いざ知らず」とは?意味や使い方をご紹介

「露知らず」の例文と使い方

  • 彼がそんなに傷ついているとは露知らず、きつい言い方をしてしまった。
  • 陰口を叩かれているとは露知らず、私は愛想を振りまいていた。
  • 宿題の期日のことなど露知らず、遊び回る毎日だった。
このように、「露知らず」は、真実を知らずに後悔したときによく使われます。もし、「露」ほどの些細なことでも知っていれば、違う言動を取っていたかもしれません。

「露」について

自然現象として

「露」とは、「大気中の水蒸気が冷えて凝結し、地上のものに付着した水滴」のことです。草や木の葉の表面のほか、蜘蛛の巣にもよく見られます。皆さんも、晴れた朝などに、芝生に水滴がついてキラキラと輝く様子を見たことがあるのではないでしょうか。

また、似たような意味の言葉に「結露」というものがあります。「空気中の水分が、冷温のものの表面に水滴となって付着する現象」のことです。

とくに寒い時期になると、よく窓ガラスが曇り水滴ができますよね。この水滴の正体こそ、気温の低い室外と、暖房で温まった室内に挟まれ発生した結露なのです。

比喩として

「露」は、「涙」の文学的な表現としても使われます。「袖の露(衣服の袖が涙で濡れること)」という言葉を使った和歌をご紹介します。
 

暮れかかる むなしき空の秋を見て おぼえずたまる袖の露かな
『新古今和歌集』 藤原義経

秋の空を見上げ、なんともいえないむなしさを感じ、思わず涙を流してしまう様子をうたっています。秋は、四季のなかでもっとも空が美しく見える季節といわれています。暮れていく儚い空を見て、感傷的な気持ちになってしまったのかもしれません。

「露」が含まれる言葉

四字熟語

  • 雨露霜雪(うろそうせつ):漢字の通り、「気象の変化」を表します。また、人生におけるさまざまな困難のたとえとしても使われます。「雨露」単独だと、万物を潤すものとして「大きな恵み」という意味になります。
  • 風餐露宿(ふうさんろしゅく):風が吹くなかで食事し、露に濡れて寝るような、「野宿をすること」という意味です。旅の辛さを表す言葉です。「風餐雨臥(うが)」ともいいます。
  • 襲名披露(しゅうめいひろう):親や師匠の芸名を受け継ぎ、多くの人に知らせることです。この「露」は、「つゆ」ではなく、「あらわす」や「さらす」という意味で使われています。

そのほかの言葉

  • 露草:ツユクサ科の一年草(発芽して枯れるまでの期間が一年のもの)です。高さは30cmほどで、夏に青色の花を咲かせますが、一日でしぼみます。「蛍草」「月草」などとも呼ばれます。
  • 露霜(つゆじも):秋の末ごろに、露が凍りかけて半ば霜のようになったものをいいます。「水霜」ともいいます。ちなみに、霜は「白髪」のたとえでもあります。
  • 露分け:草原など、草の茂ったところの露をかき分けて行くことを表します。また、先に立ってものごとをすることのたとえとしても使われます。


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