「バカッター」とは
「バカ(馬鹿)」+「ツイッター」から出来たネットスラングが「バカッター」です。
面白いから、目立ちたいから、注目を集めたいから。そんな理由でモラルに反する行為を行い、その様子を写真撮影してツイッターに投稿してしまう人物。またはモラルに反する行為を行っているところを、目撃者に撮影されツイッターで晒される人物などを「バカッター」といいます。
バカッターの分類をまとめて紹介
「バカッター」と称される人物の行為とは、具体的にどういった内容のものを指すのでしょうか。以下に簡単に分類してみました。
- バイトテロ系…アルバイト雇用の従業員が店の商品や什器で悪ふざけをし、その様子を撮影、投稿するもの。行為者本人によって投稿されることが多い。
- カスハラ系…顧客という立場を利用して従業員に悪質なクレームをつけ、謝罪の様子を撮影して投稿、あるいはSNS上で個人情報を公開するなどのもの。
- モラルハザード系…店員という立場を利用して、不愉快に感じた顧客の個人情報をSNS上に公開するなどの行為。従業員としてのモラルが著しく欠如していると判断される行為全般。
- フェイク系…嘘の情報、とくに個人の名誉を貶めたり企業・店舗の営業を妨害する恐れのある情報を投稿するもの。
- 反社会系…法令に違反する行為の様子を投稿したもの。行為者と投稿者が一致しない(目撃者による投稿など)ケースも多くみられる。
また該当投稿やツイッターアカウントは、削除してもまとめサイトなどにまとめられ、半永久的にネット上に残るのです。
実例:バイトテロ系バカッター
ピザ生地を顔に貼りつける
2013年8月、宅配ピザチェーン店の厨房内でアルバイト店員が顔にピザ生地を貼り付けている画像をツイッターに投稿。瞬く間に拡散され炎上しました。
ツイッターの過去の投稿から、店舗、さらに投稿者個人も特定され、当該店舗ではネットでのオーダーを一時停止するという状態となります。投稿当日にはフランチャイズもこの騒動を把握し、翌日には謝罪文を公表。このアルバイト店員は、店から懲戒解雇処分を受けました。
厨房の冷蔵庫に入る
2013年8月、ステーキチェーン店の厨房で、アルバイト店員が冷蔵庫の中に入っている様子の画像を投稿。店側はこのアルバイト店員を解雇し、在庫食材の破棄、店内の清掃を行い信頼回復に努めましたが、最終的に閉店という決断となりました。
実例:カスハラ系バカッター
従業員に土下座を強要
2013年9月、衣料量販店においてクレームを入れ、従業員に土下座を強要したとする画像を、従業員の実名付きで投稿した人物に、悪質なクレームだと非難が殺到しました。
投稿者は「タオルケットに穴が開いていた。返品のため費やした交通費と時間を返せ」とクレームを入れ、土下座を強要。さらに、自宅に来て謝罪するように強要もしたとされます。その後、従業員は警察に相談、被害届を提出し、同年10月に投稿者は強要罪で逮捕されました。
実例:フェイク系バカッター
「阪神優勝で講義の単位をくれる」と大学生が投稿
2014年4月、大学教授が講義中に「阪神タイガースがリーグ優勝した場合は、恩赦を発令する」と記したスライドを使用。ただし教授はこの講義の際、「かつてはタイガースが優勝した場合、全員合格とするという教授もいたが、現在はそんなことはない」と発言していたとされます。
ところが、受講していたある大学生がこの場面を撮影。教授の発言を入れず、「阪神が優勝したら無条件で単位くれるらしい」という嘘のコメントつきでツイッターに投稿しました。
大学教授は虚偽の内容をツイッターに投稿され精神的苦痛を受けたとして、学生に対し200万円の損害賠償を求め提訴。その後、学生に30万円を支払うよう命じた判決が下されました。
動物園からライオンが逃げ出したと投稿
2016年4月14日に発生した熊本地震の前震直後に、ある男性が、ライオンが街中を歩いている画像と共に「おいふざけんな、地震のせいでうちの近くの動物園からライオンが放たれたんだが。熊本」と投稿しました。
その後、この投稿は2万回以上リツイート、拡散され、熊本市動植物園に問合せの電話が殺到。この男性は熊本県警に動植物園の業務を妨害した疑いで逮捕されました。
「バカッター」はなぜ現れる?
バカッター出現の背景には、以下の要素が関係していると推察されます。
- スマホの普及により誰でも簡単に写真、動画撮影が可能になった。
- ツイッターをはじめとするSNSは、特別な知識がなくても手軽に投稿できる。
- 世間の注目を集めることで簡単に自己顕示欲を満たすことが出来る。
- 自身の投稿が全世界に向けて公開されているという自覚がない。
「バカッター」まとめ
迷惑行為は決して許される事ではありませんが、バカッターを特定して、インターネット上に個人情報を簡単に公開してしまう行為も同様に問題視されています。
また、上記にあるような「嘘の投稿」を、真偽も確かめずに簡単に拡散してしまう側にも問題があることは否めません。伝達技術の発達した現代だからこそ、情報の取り扱いには十二分に気をつけたいものですね。