「チラ裏」の意味
「チラ裏」は「チラシの裏」を略したネットスラング、インターネット上だけで通じる俗語です。より正確にいうと「ここはお前の日記帳じゃないんだ、チラシの裏にでも書いてろ、な?」というコピペの略です。
チラシなどのいらない紙の裏側に落書きをする遊び、こどもの頃によくやりましたよね。「誰もが見られるインターネットに、こどもの落書きレベルの投稿をするな」と罵るために生まれた言葉が「チラ裏」なんです。
「チラ裏」とインターネット掲示板
ネットスラングはインターネット上で生まれた言葉ですから、言葉の中ではかなり新しい部類に入ります。ですが「チラ裏」は、ネットスラングというジャンルの中では比較的古いものです。
インターネットが今ほど普及していなかった時代、パソコン通信や掲示板が交流のメインだった頃には、インターネットは「有益な情報を共有する場所」とみなされていました。情報を探したいのに、短い日記や感想文が出てくるのはとても邪魔だったのです。
会話の流れに合わない発言や極端に偏った意見、投稿者の個人的な感想などは検索の邪魔になるため、「チラ裏」と呼ばれ嫌われていました。
「チラ裏」の使い方
「つまらないものですが…」と言いながら、一生懸命選んだ手土産を渡す。日本ではお馴染みの光景ですね。「チラ裏」は人の投稿をけなす言葉として生まれましたが、転じて謙譲表現として使われるようにもなりました。
自作の文章やイラストに「チラ裏です」とコメントを添えて投稿するパターンがまさにそれです。インターネットスラングさえも謙譲表現として使ってしまうのは、日本ならではの現象ではないでしょうか。
SNSは全部「チラ裏」?
FacebookやTwitter、Instagram。インターネットを使う人にはおなじみのSNSですね。これらに投稿される内容の大部分は、挨拶や日常の雑談など他愛のないものです。かつてあれほど嫌われていた「チラ裏」は、なぜここまで一般的になったのでしょうか?
「チラ裏」使用者の割合の低下
「チラ裏」は相手を罵るために作られた言葉です。インターネットを少しだけ使う人や、お行儀の良いライトユーザーがこうした悪口を知る機会はそう多くありません。
知らない単語は使えませんから、インターネットの普及に伴って「チラ裏」という言葉を知っている人の割合が徐々に減るのは自然な流れでしょう。
どうでもいい雑談に「チラ裏だ」と文句をつける人の割合が減った。これがSNSが許容された理由のひとつでしょう。
通信技術の向上
前述の変化と時期を同じくして、パソコンや携帯電話、それらを繋ぐインターネット回線の性能が大幅に向上したことにも注目してみてください。
2010年代前半は、折り畳み式のいわゆるガラケーを持っている人が大半でした。それが今や、個人所有の端末が一度に処理できる情報量は大幅に増え、多少要らない情報が混ざっても検索に支障をきたすことはなくなりました。つまり「チラ裏」が検索の邪魔にならなくなったのです。
インターネットを閲覧する機械は、たった20年で急速に進化しました。投稿の大部分が「チラ裏」でしかないSNSが許容されるようになった理由は、通信技術の向上によるところも大きいのかもしれません。
「チラ裏」まとめ
くだらない投稿を罵倒する言葉として生まれた「チラ裏」。インターネットを利用する層が広がり、通信技術が向上したことで、「チラ裏」は許容され、謙譲表現としての地位を確立するまでに至りました。
謙遜の意味で使う分には問題ありませんが、人の文章をチラ裏呼ばわりするのはトラブルの元です。くれぐれもご注意を。