「テーゼ 」とは?意味や使い方をご紹介

「テーゼ」とは初めに立てられた命題のことです。「命題」とは、判断をことばにして真偽を論じることです。その際に「テーゼ」の反対の考え方として「アンチテーゼ」が存在する場合があります。この記事ではそれらの言葉の意味に加え、対立を解消する考え方も紹介します。

目次

  1. 「テーゼ」の意味
  2. 「テーゼ」とは
  3. 「アンチテーゼ」
  4. 「ジンテーゼ」
  5. 「アウフヘーベン」
  6. 「正・反・合」「止揚・揚棄」
  7. 「弁証法」
  8. 「テーゼ」まとめ

「テーゼ」の意味

「テーゼ」には大きく2つの意味があります。1つめは初めに立てられた命題という意味です。2つめは運動方針・綱領(こうりょう)のことです。この記事では1つめの意味について解説します。

「テーゼ」とは

「テーゼ」は初めに立てられた命題という意味ですが、「命題」とは何でしょうか。この意味も大きく2つあり、1つは判断をことばに表し、真偽(しんぎ)を論じるものという意味です。2つめは課題・問題、という意味です。

1つめの「命題」については、たとえば「オール電化のほうが光熱費が安いから我が家もオール電化にすべきだ」といった命題がありえます。「テーゼ」とは初めに立てられた命題のことですから、「オール電化のほうが光熱費が安いからオール電化にすべきだ」と、誰か(たとえば妻)が言い出した場合、それが「テーゼ」です。

「アンチテーゼ」

夫が「そうだね、オール電化にしよう」と納得すれば良いのですが、「オール電化では、停電のときにお湯も沸かせずに困るから、オール電化が良いという命題は間違っている」と反論することも考えられます。

このような「テーゼ」に反する考え方を「アンチテーゼ」と言います。日本語の中ではこの「アンチテーゼ」のほうをよく見かけるのではないでしょうか。

これは「アンチテーゼ」があってはじめて「テーゼ」の存在感が生まれるからかもしれません。上記の例で言えば、夫が「そうだね。我が家もオール電化にしよう」とすぐに納得すると「オール電化が良いか、悪いか」といった議論自体が産まれないことになります。

「ジンテーゼ」

このような「テーゼ」「アンチテーゼ」の対立を乗り越えるものが「ジンテーゼ」です。上記の例で言えば「オール電化のほうが光熱費が安くて良い」という命題と「オール電化にすると停電になったときにお湯も沸かせないので良くない」といった2つの対立する考え方を乗り越えるのが「ジンテーゼ」になります。

この場合の「ジンテーゼ」としては「じゃあオール電化にして日々の光熱費は下げよう。それだと停電のときに困るから、カセットコンロやガスも買って、いつでも使えるようにしておこう」や、「太陽光パネルも設置して、バッテリーに電気を蓄えておけば、一時的な停電が起こっても大丈夫だね」といった考え方がありえます。

「アウフヘーベン」

このように対立する2つの命題を、より高い段階で統一することを「アウフヘーベン」と言います。「ジンテーゼ」は、「テーゼ」「アンチテーゼ」という対立する2つの命題を乗り越える考え方ですから「アウフヘーベン」のための方法ということになります。

「アウフヘーベン」は2017年に小池百合子都知事(当時)が用いたことによって「現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされました。

【現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞】
https://www.jiyu.co.jp/singo/index.php?eid=00034

「正・反・合」「止揚・揚棄」

日本語訳としては「テーゼ」が「正」、「アンチテーゼ」が「反」、「ジンテーゼ」が「合」、アウフヘーベンが「止揚・揚棄」となりますが、むしろこちらのほうが分かりにくいかもしれません。

「弁証法」

上記の例では、「オール電化」について妻と夫が対立していましたが、自分の内で2つの考えが対立することもあります。それを上記のように1つの考え方に統一する考え方を「弁証法」といいます。ドイツの哲学者ヘーゲルが提唱しました。

「テーゼ」まとめ

「テーゼ」は「アンチテーゼ」があって、はじめて議論の対象になると言えます。また「テーゼ」「アンチテーゼ」はそもそも矛盾を含み対立する2つの考え方ですから、それぞれの考えにこだわっていては対立が深まるばかりで解決しません。

そのような場合は少し視点を変えて「ジンテーゼ」を生み出すことで「アウフヘーベン」し、円満な解決ができるかもしれません。

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