「お気遣い」の基本的な意味
丁寧語としての「お」を除くと、「気遣い」には以下の2つの意味があります。
- 他者の都合を考え、その人のために何かしてあげること。
- 良くないことが起こる可能性。
1についてはお馴染みでしょう。2はあまり使う機会が無いかもしれませんが、悪いことが起こるかもと気にするイメージです。
「気遣い」は「気」と「遣う」の2つの言葉に分けることができます。「気」は気持ちの気で、心や思考を意味します。「遣う」は派遣という言葉にも使われるように、別のところに送るという意味です。これらを組み合わせて、気持ちを送り気にかけるのは、上記の2つの意味に共通していると言えるでしょう。
類語との比較
丁寧にお礼を述べる際、「お気遣い」に似た使い方のできる言葉を紹介します。これらの違いを把握しておけば、より効果的に気持ちを表現することができるでしょう。
なお、「お気遣い」を含め、ここで紹介した意味はすべて丁寧語もしくは相手を敬う敬語の表現となります。
「お心遣い」
「お気遣い」がスタンダードな表現なのに対し、特に心がこもっていたと感じた場合や、厚意でしてくれた場合は「お心遣い」を使うと少し特別な表現になります。「温かいお心遣いに感謝しております。」のように使うと和やかな印象です。
「ご心配」
「お気遣い」は主に何かして貰ったことに対して使用される表現ですが、「ご心配」は具体的な行動の有無に関わらず使用できます。例えば体調不良で会社をしばらく休んでいて、復帰の際の挨拶で「ご心配をおかけしましたが、おかげさまで快復いたしました」などとする場合ですね。
また「昨日具合悪そうだったけど大丈夫?」「ご心配おかけしてすみません。もうすっかりよくなりました」など、相手の懸念に対して使用されることも多いですね。
「ご配慮」「ご配意」「お計らい」
「ご配慮」、「ご配意」は「お気遣い」に比べて自分の都合に合った特別な扱いをしてもらうイメージが強い言葉です。例えばアレルギーのある食事を自分だけ別のメニューにしてもらうなど、個別に具体的な調整をしてもらった場合ですね。「お計らい」も同様ですが、こちらは調整のスマートさが若干強調されるニュアンスです。
「ご高配」
「お気遣い」が比較的オールマイティに使えるのに対し、「ご高配」は特に立場が上の人に対して使います。企業が取引先へメッセージを送る際などによく見られます。文中の言葉が全体的に改まった敬語表現となることが多いのも特徴的です。
「お気遣い」の英語表現と例文
英語で「お気遣い」を表現する際、伝えたいニュアンス別に使える単語と例文を紹介します。日本語と同様、’Thank you for ...’ や、'I appreciate ...'に続けて感謝の気持ちを表す際に使われることも多いようです。
配慮の'consideration'
他人の気持ちを考え、思いやることをフォーマルに表現する場合はconsiderateやconsiderationが適しています。いずれも本来は考慮、考察など深く考えることを意味する言葉で、他人のことを考えることから気遣い、配慮の意味にもなります。前者は形容詞、後者は名詞なので使うときは文法に注意しましょう。
- Thank you for being so considerate.
- Thank you for your consideration.
親切の'kindness'
親切という意味ではkind、および名詞形のkindnessが該当します。優しさという意味もあり、丁寧な表現でありながらも場面を選ばず使うことができます。
- It is very kind of you.
- Thank you for your kindness.
心配のconcern
concernも心配や関心というニュアンスを含んで「お気遣い」の意味を持ちます。相手への関心、思いやりを持った気遣いですね。
- Thank you for your concern.
相手を考える'think'
考えるという意味のthinkも気遣いという意味を表すことができます。その人を気にかけて考えることが気遣いに繋がることからもイメージしやすいでしょう。
thinkから派生したthoughtfulnessも思慮深さという意味ですが、相手のことをよく考え、丁寧に扱うことからこれも気遣いという意味で使うことができます。
- Thank you again for your good thoughts.
- Thanks for thinking about me.
- I appreciate your thoughtfulness.
まとめ
頻繁に使う言葉だからこそ、本来の意味を理解し適切に感謝の心を伝えていきたいものですね。気遣いを理解してお礼を言っていると伝われば、きっと言われた方もより嬉しく感じるでしょう。