「所作」とは?
「所作」は一般的に「行いや立ち振る舞い」、「身のこなしやしぐさ」といった意味で使われる言葉です。「行いや振る舞い」の意味では日常的に使われますが、「身のこなし、しぐさ、演技の動作」は必要な技術や礼儀作法を表しています。
「所作」の使い方
「所作」には上記で説明した以外に、仕事や職業、仏教用語といった幅広い意味があります。一般的な意味と特別な意味で「所作」の使われ方がどう変わるのか、その違いをご紹介します。
「所作」の一般的な使い方
「所作」の一般的な使われ方には「彼の所作の一つ一つが美しい」という風に単純に行動やしぐさを示す言葉で使われる時と、「着物を着た時の正しい所作を覚える」という風にある分野における身のこなしや学ぶべき技術を指して使われる場合があります。
「所作」の特別な使い方
「所作」が「仕事や職業」の意味で使われるのは主に古文で、平安後期の『今昔物語集』の一節などに登場します。
(昼も夜もいつも狩りや漁を仕事にしている国である)
『今昔物語集』より
仏教用語としては「身・口・意の三業が発動すること」という意味があります。「業」とは行為や意思によって動く身体や心の活動のことを言います。仏教ではこれを三つに分けました。
- 身体的な行動(身業)
- 言葉を発すること(口業)
- 心に思う働き(意業)
「所作」の英語表現
「所作」を表す英語は「動作」を意味する"action"、「立ち振る舞い」の意味の"behavior"、「身振りや物腰」を意味する"movement"があります。
例えば”the action of kabuki" (歌舞伎の所作)という風に、「俳優や運動選手などの動作」や「演技の動き」といった意味では"action"が当てはまります。
"I learned proper behavior at a tea ceremony" (私は茶席での正しい所作を学んだ)という風に、礼儀作法を含んだ「身のこなし」や「立ち振る舞い」の意味では、"behavior"を使うことができます。
相撲における「所作」
相撲は日本伝統のスポーツであり、神事として祭りや神様の前でも行われます。そのため大相撲の世界では所作がとても重要視されています。礼儀作法ができていないと昇進に響くこともあります。そんな相撲界で大切にされている所作をご紹介します。
「蹲踞(そんきょ)」
試合をする前に対戦相手と腰を下ろして向かい合う姿勢のことを言います。対戦相手への尊敬と礼儀の意味があります。相撲では爪先立ちでかかとの上に尻を置き、膝を開いて膝の上に手を乗せた体勢になります。
「塵手水(ちりちょうず)」
「塵手水」とは、蹲踞の後にもみ手で拍手してから両手をはねのように広げる動きのことです。取組みの前に、お互いが手に何も持っていないことを確認しあったことが起源であると言われています。
「四股(しこ)」
相撲といえば「四股」のイメージを持っている方も多いと思います。「四股」は両足を開いて、片足ずつ交互に高く上げ、まっすぐ下に落とす動きのことです。相撲の基本動作であり、準備運動としての意味があります。
「所作」まとめ
「所作」は礼儀や作法と深く関わる言葉です。日本の伝統的文化には古くから伝わる「所作」を重要視しているものが多いです。「所作」の言葉の意味と一緒に、茶席や相撲などで大切にされている「所作」も覚えてみると、古き良き日本を感じられるのではないでしょうか。