「含む」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは「含む」という言葉を普段、意識して使いますか。「含む」は会話や文章の中で何気なく使われている言葉ですが、使用の際に注意すべき点がいくつかあります。ここでは、「含める」や「含まれる」との違いや例文も含め、意味と使い方をご紹介します。

目次

  1. 「含む」の意味と使い方
  2. 「含む」と「含める」の違い
  3. 「含む」の関連語
  4. 「含む」の英語表現(日英対照)
  5. 「含む」と「銜む」
  6. 「含む」まとめ

「含む」の意味と使い方

物が主語の場合と人が主語の場合があります.

  • 《物が》成分や要素、性質として持っている。(例:レモンは、ビタミンCを豊富に含む。)
  • 《人が》口に物を入れ、保っている。(例:彼は、水を口に含んだ。)
  • 《人が》事情を理解し、心に留めておく。(例:この点を十分お含みおきください。)
補足ですが、「含まれる」は「含む」の受け身の形です。(例:レモンにはビタミンCが含まれる。)

「含む」と「含める」の違い

「含める」は人を主語とした能動的な行為を指します。

  • 《人が》何かをある範囲の中に入れる。(例:手数料を含めて請求した。)
  • 《人が》何かを中に包み持つようにする。(例:墨を筆に含める。)
  • 《人が》事情を説明し、納得させる。(例:うまいこと言い含めて、その場逃れをする)

「含む」の関連語

  • 含み…表面に現れない意味、内容のこと(例:ずいぶんと含みをもたせた発言だ。)
  • 含むところがある…心の中に恨みや怒りを密かに抱いている(例:僕に何か含むところがあるように見えるが。)
  • 因果を含める…事情を説明して納得させる。特に、諦めさせる場合に使う。(例:因果を含めて駆け落ちを諦めさせた。)

【含む」の類義語と熟語

  • 含有…含みを持つこと。成分として含んでいること。
  • 保有…保ち持つこと。
  • 内包…内部に含み持つこと。
  • 内蔵…内部に所蔵すること。
  • 包蔵…内部に持っていること。包みしまうこと。
  • 包含…包み含むこと。
また「含」を含む熟語には、含有・含蓄・含味・含笑・含羞(がんしゅう)・包含・内含などがあります。

「含む」の英語表現(日英対照)

  • Lemons contain a lot of vitamin C.(レモンは多くのビタミンCを含んでいる。)= A lot of vitamin C is found in lemons.(レモンには多くのビタミンCが含まれる。)
  • This equation includes two unknown quantities.(この方程式は2つの未知数を含む。)= Two unknown quantities are included in this equation.(この方程式には2つの未知数が含まれる。)
  • Consumption tax is included in the price of the product.(商品の価格には消費税が含まれている。)= The price of the product  includes consumption tax.(商品の価格は消費税を含む。)
  • I put sake into the mouth and sensed the fragrance.(私は酒を口に含み香りを感じた。)
  • I persuaded her to go by train rather than by car.(彼女に車でなく、電車で行くように言い含めた。)
  • A service charge is included in the room rates.(サービス料は室料に含まれています。)
  • It comes to 2000 yen, including postage.(送料を含めて2000円になります。)=It comes to 2000 yen, postage included.=It comes to 2000 yen, inclusive of postage.(「送料を含めて」は3通りの表現が可)

「含む」と「銜む」

文語文では、「含む」「含める」の代わりに「銜(くく)む」「銜(くく)める」が使われる例があります。

  • 銜む(哺む)…《人が》口に含んで保つ。
  • 銜める(哺める)…口に含ませる。言い聞かせる。納得させる。
例えば『宇治拾遺物語』の「空入水したる僧のこと」では、以下のように「銜む」が使用されています。
此聖の手をとりて、引上たれば、左右の手して顔はらいて、くくみたる水をはき捨てて、この引上たる男に向いて、手をすりて
(この聖者の手をとって、引き上げてみれば、左右の手で顔をこすって、口に含んだ水を吐き捨てて、引き上げた男に向かって、手をすり合わせて)

『宇治拾遺物語』より

また泉鏡花の『婦系図(おんなけいず)』にも「娘はまだ小児(こども)です。箸を持って、婿を挟んで、アンとお開き、と哺めてやるような縁談ですから」というセリフが登場します。この場合の「哺める」は「口に含ませる」の意ですね。

浄瑠璃や歌舞伎の演目である『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』の「三段目」には「勿体ない菅丞相様、くくめる様にいわしやました」というセリフが出てきますが、これは「言い聞かせる」という意味で使われています。

「含む」まとめ

「含む」「含める」「含まれる」は使う時、少し気をつける必要があります。たとえば、「レモンはビタミンCを含めている」などと言ったとしても何とか意味は通じますが、できれば「レモンはビタミンCを含んでいる」といったように正しく使いたいものですね。


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