「ユーティリティ」の意味
「ユーティリティ」という外来語は英語からきたものです。英語では「utility」と表記します。これは形容詞では「実用的な」「さまざまな用途を持つ」「いろいろな役割をこなせる、万能の」といった意味を示します。日本語での意味も同じです。
「ユーティリティ」は日本語でも英語と同様、形容詞として「ユーティリティな、ユーティリティの」などと使うほか、名詞として「有益なもの」といった意味でも用いられます。
スポーツ用語の「ユーティリティ」
野球では重宝される「万能選手」
「ユーティリティ」という外来語は、スポーツでは特に馴染みがあり幅広く使われる言葉です。まず野球です。形容詞として、例えば「ユーティリティプレーヤー」「ユーティリティな選手」といった用い方をされます。英語でも「a utility player」「a utility infielder(内野手)」といった表現は同じです。
これは「どの守備や打撃のポジションも担当できる万能選手」といった意味です。現代のプロの野球では、役割が細分化、専門化しており、投手は投手、捕手は捕手、サード(三塁手)はサードなどと得意とする守備位置が固定されるのが一般的です。それだけ習得するのが難しい高度な技術が求められるためです。
そんな中、守備では「内野も外野も高いレベルで守れる」、打撃では「バントなどの小技もうまいが、ある程度パワーもあり、足も速い」といったように、ある意味「使い勝手がいい」選手はチーム編成の上で大変重要になります。こうした選手のことを「ユーティリティプレーヤー」と呼びます。
サッカーやバスケでも貴重
サッカーでも「ユーティリティプレーヤー」という言葉が使われます。これは、ディフェンダーやフォワード、ディフェンダーの中でもセンターバック、サイドバックなどさまざまなポジションを高いレベルでこなせる選手のことを示します。現代サッカーも野球同様、ポジションの専門化が進んでいる中、やはりこうしたユーティリティな選手の有無がチームづくりには大きな鍵を握ります。
サッカーでは「ユーティリティ」と似た言葉で「ポリバレント」という用語もありますが、これは「一つのポジションにいながら、攻撃的や守備的など多様な動き方ができる」といった意味を表すとされ、微妙な違いがあるようです。
またバスケットボールでの「ユーティリティプレーヤー」は、試合中に複数のポジションを行き来する選手のことを指す総称です。カバーする役割によって「コンボガード」「ポイントフォワード」「スウィングマン」などさまざまな呼び名があります。
ゴルフでは用具名
ゴルフ用語での「ユーティリティ」とは、ボールを打つ道具である「ゴルフクラブ」の一種のことを指します。これはウッドとアイアンの中間の形をしており、形状はウッド型とアイアン型とがあります。総じて難しいコースで使用される、上級者向けのクラブだとされます。
住宅や自動車用語の「ユーティリティ」
住宅関係でも「ユーティリティ」という言葉が使われます。これは一般には「ユーティリティ・ルーム」の略で、直訳すれば「多目的・多用途な部屋」ということになります。実際には日本語では「家事室」とも呼ばれ、洗濯機やアイロン台など家事に必要な道具がコンパクトにまとめて設置してあり、一カ所で効率的に家事をこなせる部屋を意味するのが通例です。
このほか自動車では「スポーツ・ユーティリティ・ビーイクル」(SUV)、日本語訳では「スポーツ用多目的車」と呼ばれるタイプの車種が「街乗りにもオフロードにも使える」と最近人気を集めています。
「ユーティリティ」の例文
- 野球の国際試合ではベンチ入り人数が限られるから、なるべく多くのユーティリティプレーヤーがチームにいることが、勝利には不可欠だ。
- 彼は大酒飲みだが、甘い物にも目がないそうだ。それでいて激辛カレーも大好きときている。ある意味「ユーティリティ」な男だな。
「ユーティリティ」のまとめ
スポーツや住宅などに限らず、「ユーティリティ」なタイプの人や道具は大変便利なものです。ただしそれには「いろいろな用途に使え、しかも出来栄えがどれも高品質なこと」という条件がつきます。「何でもある程度はできるが、どれも中途半端」な場合は「ユーティリティ」とはいわず、「器用貧乏」という言葉があてはまりそうです。