「プリンシパル」の意味
「プリンシパル(principal)」の辞書的な意味は以下のようなものです。
[形容詞]
- 主な、主要な、最も重要な
- 資本金の、元金の
- かしら、支配者、社長、会長、校長、学長
- (演劇における)主役、主演者
- ソリスト、独奏者
このように意味合いは様々ですが、とある集団やカテゴリーの中で「中心的」であり「最も重要になる」もの(こと)を表しています。
バレエにおける「プリンシパル」
“principal”にはまた、「バレエ団ダンサーの最高位」という意味があり、カタカナ語で「プリンシパル」といった場合にはまずこの意味であると考えて良いでしょう。
バレエ団の階級や呼び名については、その国や所属人数、そして団体の意向を反映して様々ですが、「プリンシパル」といえばまず主役を演じるバレエダンサーであることがほとんどです。(プリンシパルが団体の主宰も兼ねており、出演しない場合もあります)
例えばイギリスの「ロイヤル・バレエ団」の元プリンシパルである熊川哲也が立ち上げた「Kバレエカンパニー」においては、「プリンシパル」は主宰の熊川を含め6名、「プリンシパルキャラクター」が3名、「プリンシパルソリスト」が4名在籍しています。(2018年12月現在)
「プリンシパル」の類語
「プリンシパル」にはいくつかの類語がありますのでそれらについて解説しましょう。
エトワール
「エトワール(étoile)」は「星」「花形スター」を意味するフランス語です。
フランス(パリ・オペラ座)では「プリンシパル」に位置する階級を、男性は「プルミエ・ダンスール(premier danseur)」、女性を「プルミエール・ダンスーズ(première danseuse)」と呼びますが、その中でも最も素晴らしいとされる人だけが「エトワール」と呼ばれます。
プリマ
「プリマ」は「プリマ・バレリーナ(Prima ballerina)」の略称です。こちらはイタリア語による呼称ですが、「女性プリンシパル」を意味しています。
もともと「バレリーナ」という呼称自体女性トップダンサーを示すものでしたが、それに「主要な」を意味する“prima”がつきました。
さらに上位の、バレリーナの最高位を表すものとしては「プリマ・バレリーナ・アッソルータ(prima ballerina assoluta)」という呼称もあります。これは「究極の」プリマ・バレリーナという意味で、バレエの歴史の中でも15人足らずしか認められていないようです。
ちなみに「プリマ・ドンナ(prima donna)」はオペラで主役を務める女性歌手(歌姫)のことで、「女性プリンシパル」の意味はありません。
間違えやすい言葉「プリンシプル」
「プリンシプル(principle)」は「原理・原則」を意味する英単語で、「プリンシパル(principal)」とは全く違った意味の言葉です。国家や集団の原則を示すこともあれば、個人の主義を指すこともあります。
この言葉が世間に広まったのは、その人間的な魅力によって戦後に一時代を築いた「白洲次郎」が用いたためでしょう。彼の直言(エッセイ)集である『プリンシプルのない日本』(新潮文庫)は今なお多くの人によって読み継がれています。
いくえみ綾の漫画『プリンシパル』
『プリンシパル』は、いくえみ綾による漫画の作品名でもあります。集英社刊の雑誌『Cookie』にて2010〜2013年まで連載されました。マーガレットコミックス刊の単行本は累計150万部を超えた人気作品で、2018年には黒島結菜とジャニーズWESTの小瀧望のダブル主演で映画化されました。
乃木坂46の舞台「16人のプリンシパル」
『16人のプリンシパル(Sixteen Principal)』は、アイドルグループ乃木坂46による舞台公演です。第1弾から第3弾までが、2012〜2014年の間に公演されています。
舞台の第1幕で出演するメンバー全員が自己PRを行い、観客が投票した結果によって第2幕の配役が決まるという観客参加型の舞台としてファンの間で話題を集めました。