鬼哭啾々とは?鬼哭啾々の意味
亡霊の泣き声が聞こえてきそうなほど不気味で恐ろしい様子や、戦場や災害の跡地のような陰惨な光景を表現する言葉
鬼哭啾々の説明
「鬼哭啾々」は「きこくしゅうしゅう」と読み、中国唐代の詩人・杜甫の漢詩「兵車行」が由来です。ここでの「鬼」は日本のように角のある妖怪ではなく、死者の魂や亡霊を指します。「哭」は大声で泣くこと、「啾々」はしくしくと小声で泣く様子を表し、合わせて「亡霊が浮かばれずに様々な声で泣いている光景」を意味します。実際に亡霊が泣いているわけではなく、あまりにも悲惨で不気味な状況を修辞的に表現したもので、戦争や災害の跡地などで使われることが多いです。現代では『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』などの作品にも登場し、ドラマチックな場面を演出する言葉として親しまれています。
なかなか日常では使わない言葉ですが、いざという時に知っていると表現の幅が広がりそうですね!
鬼哭啾々の由来・語源
「鬼哭啾々」の由来は、中国唐代の偉大な詩人・杜甫(とほ)が755年に起こった安史の乱の悲惨さを描いた漢詩「兵車行」にあります。詩の中の「新鬼煩冤旧鬼哭、天陰雨湿声啾啾」という一節が直接の出典で、戦場に散った兵士たちの無念さを表現しています。ここでの「鬼」は日本の妖怪ではなく、戦死した兵士の亡霊を指し、「哭」は大声で泣くこと、「啾々」はしくしくと泣く声を表しています。この詩は当時の社会批判も含んでおり、単なる恐怖表現ではなく、戦争の悲惨さを訴える社会的メッセージとしての側面も持っています。
古代の詩から現代のエンタメまで、時代を超えて使い続けられる表現の力ってすごいですね!
鬼哭啾々の豆知識
「鬼哭啾々」は現代のエンタメ作品でも意外な使われ方をしています。特に有名なのが『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』で、第22話のタイトルとして使用されました。また、パチスロ版では「鬼哭啾々モード」という特別演出が存在し、プレイヤー間で話題になりました。さらに興味深いのは、この言葉が戦争や災害の報道で比喩的に使われることがある点です。例えば、戦場跡地や大災害の被災地を描写する際に「鬼哭啾々の光景」と表現されることがあり、古代の表現が現代の惨事を描写するのに使われ続けているのです。
鬼哭啾々のエピソード・逸話
作家の山田風太郎は、自身の忍法帖シリーズにおいて「鬼哭啾々」という表現を好んで使用しました。特に『甲賀忍法帖』では、凄惨な戦いの描写にこの四字熟語を効果的に用い、読者に強い印象を与えています。また、中国文学者の吉川幸次郎は杜甫の詩についての解説で「兵車行」を取り上げ、「鬼哭啾々」の表現について「戦場の悲惨さが聞こえてくるような描写」と高く評価しています。現代ではアニメ監督のうえだしげる氏が『バジリスク』の演出において、この言葉をタイトルに選んだ意図について「忍び同士の哀しい戦いを表現するのに最適だった」とインタビューで語っています。
鬼哭啾々の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「鬼哭啾々」は漢語の四字熟語の中でも「主述+重言」という構造を持っています。「鬼哭」が主語と述語の関係(鬼が哭く)であり、「啾々」は同じ音を重ねる重言(畳語)で泣き声の状態を表しています。音韻的には「きこくしゅうしゅう」と読まれ、「く」と「しゅう」の音が繰り返されるリズムが、泣き声の響きを連想させます。また、この言葉は唐代の中古漢語の発音を反映しており、日本語の音読みでは「キコクシュウシュウ」となりますが、現代中国語では「guǐ kū jiū jiū」と発音されます。漢字文化圏における四字熟語の伝播と変容を研究する上で興味深い事例と言えるでしょう。
鬼哭啾々の例文
- 1 締め切り前夜、未完成のプロジェクトを見てチーム全員が固まっている様子はまさに鬼哭啾々だった
- 2 終電を逃して深夜のオフィスに一人取り残された時、周りのデスクに亡霊が泣いているような鬼哭啾々な気分になった
- 3 子どもの運動会で全種目ビリだった我が子を見て、親として鬼哭啾々の思いを味わった
- 4 大事なプレゼンの前日、パソコンがクラッシュした時の絶望感は正に鬼哭啾々という表現がぴったりだ
- 5 一人暮らし初日、何もかも失敗して暗い部屋で座り込んでいると、まるで鬼哭啾々のような寂しさに襲われた
使用上の注意点
「鬼哭啾々」は非常に強い表現のため、使用する場面には注意が必要です。軽い気持ちで使うと大げさに聞こえたり、場の空気を壊してしまう可能性があります。
- 実際に亡霊が存在するわけではない比喩的表现であることを理解した上で使用する
- 深刻な状況や真剣な話題に限定して使う
- 冗談や軽い話題では使用を避ける
- 相手の心情や状況を考慮して使用する
関連する四字熟語
「鬼哭啾々」と関連性の高い四字熟語をいくつか紹介します。これらの言葉も同様に、不気味な様子や悲惨な状況を表現する際に使われます。
- 「陰気惨澹(いんきさんたん)」:もの寂しく陰気な様子
- 「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」:さまざまな化け物や妖怪
- 「修羅場(しゅらば)」:激しい争いや悲惨な光景
- 「血塗れ(ちまみれ)」:血で染まった悲惨な状態
現代における応用表現
近年では「鬼哭啾々」を現代風にアレンジした表現も見られます。特にネットスラングや若者言葉として、比喩的に使われることが増えています。
- 「テスト前の教室、鬼哭啾々状態」:試験前の緊張した空気
- 「納期前のオフィスが鬼哭啾々」:締切直前のピリピリした状況
- 「ファイナル進出ならず、チーム内が鬼哭啾々」:スポーツでの敗戦後の沈んだ雰囲気
- 「スマホ壊れて鬼哭啾々の思い」:大事なものが壊れた時の絶望感
よくある質問(FAQ)
「鬼哭啾々」の正しい読み方は何ですか?
「きこくしゅうしゅう」と読みます。漢字の通り「鬼(き)」「哭(こく)」「啾々(しゅうしゅう)」と読み、特に「啾々」は「しゅうしゅう」と繰り返して発音するのが正しい読み方です。
「鬼哭啾々」は日常会話で使えますか?
日常会話で使うことは稀ですが、非常に深刻な状況や悲惨な光景を表現する時に使えます。例えば、大きな災害の被害状況や、仕事で大きな失敗をした時の絶望的な雰囲気などを表現する際に用いられます。
「鬼」は日本の妖怪のことですか?
いいえ、この言葉における「鬼」は日本の妖怪ではなく、中国古代の思想でいう「死者の魂」や「亡霊」を指します。戦死した兵士の霊魂など、浮かばれない死者の霊を意味しています。
「鬼哭啾々」と「慟哭」の違いは何ですか?
「慟哭」は生きている人が大声で泣き叫ぶことを指すのに対し、「鬼哭啾々」は亡霊が泣くという比喩的表现で、実際には存在しないものの泣き声が聞こえてきそうな不気味で恐ろしい状況を表します。
この言葉を現代風にアレンジした使い方はありますか?
現代では、SNSなどで「テスト前の教室が鬼哭啾々」「締切前のオフィスが鬼哭啾々状態」など、比喩的に深刻なプレッシャーやピリピリした空気を表現するのに使われることもあります。