「ほぼほぼ」はいつ頃から使われた?
近年、使われることの多くなった「ほぼほぼ」という言葉ですが、10代、20代では使う回数の多い新しい言葉です。年齢が高くなるほど、使用頻度が低いので違和感を感じますが、一体いつ頃から使われ始めたのでしょうか?
詳しい詳細は分かっていませんが、1949年の「国会会議録」では「ほぼほぼ」の使用があります。1990年代から徐々に使用例が増えていき、2014年度の三省堂の国語辞典第7版では、「『ほぼ』に重ねて使う言葉」と記載されています。
ネットやメディア、さらにSNSでの使用頻度も高まり、「今年の新語2016」では大賞に選ばれています。
「ほぼほぼ」の意味
「ほぼほぼ」という言葉は使うけど、実際にはよく分かっていない、という方も多いでしょう。まずは「ほぼ」という意味からご説明します。
「ほぼ」の意味
「ほぼ」は、すべて完璧に近い状態であることを表します。「ほぼ」は「副詞」ですが、「副詞」は「動詞・形容詞・形容動詞」を装飾する単語になります。装飾をするというのは、情報を加えることでより分かりやすくするという意味です。
●川の向こう岸がほぼ見える(”見える”は動きを表す動詞)
●テーブルのりんごはほぼ赤い(”赤い”は状態を表す形容詞。語尾が”い”で終わる)
●水はほぼ透明だ(”透明”は状態を表す形容動詞。語尾が”だ・です”で終わる)
「ほぼ」という言葉があることにより、今現在、どのような状態であるかがより詳しく分かります。
「ほぼほぼ」の意味
「ほぼほぼ」は「ほぼ」を強調する言葉なので、「ほぼ」よりももっと完璧に近い状態を表す場合に使います。
「ほぼ」は90%、9割方の値に対し、「ほぼほぼ」は100%に近い、完璧に近いけれど一部例外もある場合を指します。
「ほぼほぼ」の類義語・同義語
「ほぼ」と「ほぼほぼ」は完全に近い状態という意味で類義語になりますが、言葉を数値で判断するのはなかなか難しい所です。ここでは、半分以上が完全に近いという考えで、類義語、同義語をご紹介します。
- 大体(だいたい)…細かい部分を除いた重要な部分
- 殆ど(ほとんど)…もう少し。完全に近い状態
- 概ね(おおむね)…細かい部分には触れず、大きくざっくりと全体をとらえる
- 大方(おおかた)…物事の大部分。全体の大半
- 大概(たいがい)…全部ではないけど、大部分
言葉を使う状況やシチュエーションでニュアンスも変わってくるので、会話をする相手がどうとらえるかで意味も変わってきます。「この場合はこの言葉を使った方がいい」と、はっきり言えないのが日本語の難しい部分でもあります。
「ほぼほぼ」が使われたCM効果
2018年6月頃にSoftBankのCMで使用された「ほぼ、ほぼほぼですね!」の言葉は、今でも耳残るほど印象的です。さらに、お笑い芸人の山崎弘也さんと、バービーさんの似ている顔のツーショットが衝撃的でした。この効果もあり、「ほぼデータ使い放題の50GB」のプランも、SoftBankユーザーでない方々に知るきっかけとなり、知名度を広げていきました。
テレビをつけるたびにこのCMが流れ、一部では不快感を与えるといった悪い印象もありましたが、より多くの人々の記憶に焼き付け、売り出す商品の理解を深める効果は絶大にありました。
「ほぼほぼ」の使い方も、このようなCMが引き金となり、より一層使う頻度を広めていったのです。
若い世代の「ほぼほぼ」の意味と使い方
若い世代で浸透している「ほぼほぼ」ですが、大学生ではおよそ50%の方が使用していると、アンケート調査で分かっています。「ほぼほぼ」を使う理由を聞いてみると、下記のような返答がありました。
- 日常的に何となく
- 自信がない時に使う
- 癖になってる
- 周りが使ってるから
- 「ほぼ」だと堅苦しい感じ
本来、「ほぼほぼ」の使い方は「ほぼ」をより一層強調する言葉なのに対し、若い世代での意味は本来の使い方と異なっており、「ほぼ」よりももっと曖昧で、「だいたい・なんとなく」とやわらかい印象を感じさせるイメージを持っています。その為、使用頻度も多くなり、若い世代に普及していったようです。
「ほぼほぼ」を使う場合のエチケット
昔から、言葉を重ねて使う言葉はたくさんあり、「重ね重ね・またまた・次々・みるみる」など、選び出すとキリがありません。「ほぼほぼ」は新しい言葉なのでなじみが薄いですが、10年20年と月日が経つと、誰もが普通に使う常用語となっていく予感がします。
しかし、今はまだ新しい言葉なので、年配の方や目上の方には不快に聞こえてしまう場合も、少なからずあるようです。親しい間柄や家族の中での会話だけに止めておき、重要な席や仕事での使用は極力控えた方が良いでしょう。もし使用する場合は、「ほぼほぼ」の意味を聞かれた時に説明できるよう、心得ておくと悪い印象を与えずに済みそうです。