「左団扇」の意味
「左団扇」は、「ひだりうちわ」と読み、「左うちわ」と表記する場合もあります。そして「左団扇」とは、生活が豊かで、心配がなく、余裕のある暮らしを送ること。のんびりとした安楽な暮らしぶりを意味します。また、「左団扇」と同じ意味で、「左扇(ひだりおうぎ)」という言葉もあります。
「左団扇」の由来
「左団扇」の由来には、複数の説があり、以下に2つの説をご紹介します。
由来① 利き手でない手=ゆったりした動き 説
一般的に右手が利き手であることから、利き手でない左手で団扇をあおぐ姿は、ゆったりと団扇を使っているように見えます。そこから転じて、ゆったりと生活を送っているように見えることを意味する、「左団扇」という言葉が生まれました。
これが一つの説です。もう一つが以下になります。
由来② 右手には常に財布がある 説
着物は胸の前で、左を上に右を下にして合わせて着るため、財布を胸の懐に入れるには、右手でしかできません。そこから、右手で懐に財布(=お金)を入れるのが忙しくて、左手で団扇を使わなければならないほど儲かっている、ということが転じて、左手で団扇を使うことが「左団扇」となり、気楽に暮らすことの意味になりました。
「左団扇」の例文
- 友人は、先祖から受け継いだ土地にマンションを建て、その賃貸収入で、左団扇で暮らしている。
- 小さな町工場の経営であくせく働いていたが、自社のある製品の特許をとったら、その特許料で、左団扇の暮らしになった。
- 老後は左団扇のつもりで、若いころから寝る暇を惜しんで働いていたから、今の生活ができる。
- 子供が芸能界に入るときいたとき、左団扇の気持ちはなかったが、子供が有名スターとなり、はからずも、そういう日々を送ることになった。
このように、「左団扇」は、「左団扇で暮らす」という言い回しが、一般的によく使われます。また、「左団扇で暮らす」を英語で表現すると、live in comfortとなります。
「左団扇」の類義語
有閑(ゆうかん)
資産があって生活に余裕があり、暇の多いこと。(彼女は毎日いろいろな習い事に通い、いかにも有閑マダムという感じだ。)
悠々自適(ゆうゆうじてき)
世間のわずらわしい事から離れて、自分の欲するままに、心静かに暮らすこと。(会社を退職後の彼は、ゴルフ三昧で、悠々自適に暮らしている。)
「左団扇」の反義語
身を粉(こ)にする
労苦をいとわず、一生懸命に働くこと。(身を粉にして毎日働いたので、長年の夢だった自分のお店を一等地にもてた。)
左前(ひだりまえ)
経済的に苦しくなること・悪くなること。物事が順調にいかないこと。(家業が左前になったとき、知り合いの助言を取り入れたら、今では客が増えて繁盛するようになった。)
「左団扇」まとめ
このように、同じ「左」という言葉を使っても、「左団扇」は経済的にゆとりがある意味で、「左前」は経済的にゆとりがない意味で、まったく逆の場合で使われます。「左」という文字がはいっている言葉を、使う機会があるならば、ポジティブな意味の「左団扇」を、せっかくならば多用したいですし、それが自分自身で使えるときがきたら、嬉しいですね。