「合縁奇縁」とは
「合縁奇縁(あいえんきえん)」とは、「人と人との交わりで、お互いの気心が合うのも合わないのも、すべて不思議な縁による」という意味の四字熟語です。男女や夫婦、友人同士など、様々な人間関係に使われる言葉です。それぞれ、「愛縁」や「相縁」、「機縁」とも書きます。
皆さんも、身近な友人やパートナーなど、「なぜこんなに気が合うのかな」とふとした瞬間に思ったことがあるのではないでしょうか。また、改めて周囲を見渡してみると、「この人たちは面白い組み合わせだ」と感じることもあるかもしれません。
「合縁奇縁」の語源
「合縁奇縁」は、仏教の思想に基づいた言葉です。仏教は、紀元前五世紀ごろ、インドで釈迦(しゃか)が説き始めた宗教です。現世の苦悩を超越し、悟りの境地に至ることを目的とします。日本には、六世紀半ばに伝えられました。
まず、「合縁」という言葉についてですが、「恩愛による人と人との結びつき」を表します。「恩愛」とは、「愛し、大切にする気持ち」「親子や夫婦間の深い情愛」という意味があります。
次に、「奇縁」とは「思いもよらない不思議な巡り合わせ」という意味の言葉です。「奇」という漢字には、「珍しい」「不思議」という意味があります。この二つの言葉が組み合わさって、「合縁奇縁」という四字熟語になりました。
「合縁奇縁」の使い方と例文
- 私たちがまさか夫婦になるなんて、合縁奇縁とはこのことだ。
- ただの同僚だったのに、こんなに気の合う友人になるなんて、まさに合縁奇縁だ。
このように、「出会えて良かった」という意味を込めて使われていることがわかります。「良い巡り合わせ」「ご縁に恵まれた」と表すこともあります。
- 隣の席のBちゃんとはいつも喧嘩している。これも合縁奇縁だろう。
- 合縁奇縁というが、あいつとは何かと対立してばかりだ。
こちらの例文では、「相性が悪い」という意味で使われています。もし気が合わなくても、「これも縁だから」と思うことで、相手への不満や怒りも静まるかもしれませんね。
「合縁奇縁」と「一期一会」
「一期一会(いちごいちえ)」とは、「一生に一回限りのこと」「生涯にただ一度会うこと」という意味の四字熟語です。その語源は、「茶道では、どの茶会でも一生に一度だと考えて、常に客に誠を尽くすべきだ」という考えからきています。
使い方としては、「旅は毎日が一期一会だ」「一期一会を胸に刻んで生きていく」などがあります。旅先での出会い、毎日会う家族や同僚など、すべての人や物事に対して使います。今のこの瞬間は二度と訪れないので、感謝して大切にしよう、ということです。
「合縁奇縁」は、「出会いは不思議なものだ」という事実や驚きを表すのに対し、「一期一会」は「その瞬間に誠意を持つ」という生きていく上での姿勢が表れています。座右の銘としてよく使われるのも、納得できるかもしれませんね。
類語「縁は異なもの味なもの」
縁は異なもの味なもの(えんはいなもの・あじなもの)ということわざがあります。「男女、特に夫婦の縁というものはどこでどう結び付くか、不思議で面白いものだ」という意味があります。
「合縁奇縁」は様々な人間関係を表すのに使えますが、こちらは男女や夫婦間に限定されています。「縁は異なもの」と、縮めて使うこともあります。
「合縁奇縁」のまとめ
皆さんも、家族や友人、同僚や恋人など、自分を形成するのに欠かせない人がいるのではないでしょうか。また、どちらかと言えば苦手だ、と感じる人もいるかもしれません。
良い悪い関係なく、「合縁奇縁」はあちこちに存在するのではないでしょうか。もしかしたら、今まで苦手だと感じていた人が、いつのまにか最高のパートナーになっていた、なんてこともあるのかもしれませんね。