「ドラフト」とは?意味や使い方をご紹介

「ドラフト」という言葉を聞くと皆さんは何を想像されるでしょうか。ビール、プロ野球の新人選抜、企画書の草案…。全然関係ないもの同士に見えますが、これらはなぜか全部「ドラフト」と呼ばれます。今回は「ドラフト」の意味や語源などを解説します。

目次

  1. 日本語としての「ドラフト」の意味
  2. 英語の「ドラフト」の意味
  3. 「ドラフト」の語源
  4. 日本語の「ドラフト」の使い方と例文
  5. 「ドラフト」のまとめ

日本語としての「ドラフト」の意味

日本語の「ドラフト」は、英語に由来する外来語です。日本語で使われる場合の意味は、以下の様なものが挙げられます。
 

  1. 人を選抜すること
  2. 文章の下書き、草稿
  3. 洋裁で、型紙の輪郭を描いた下図

毎年秋にプロ野球全球団の代表が集って行われる、いわゆるプロ野球の「ドラフト会議」が(1)に該当しますが、「ドラフト」という言葉がもっとも広く浸透した日本語といえるのではないでしょうか。

新人選手に対する入団交渉権を、各球団で公平に振り分けることが目的で、米メジャーリーグや他のプロスポーツでも行われています。チームの戦力を均衡させたり、選手の奪い合いなどの過当競争を避けるのが目的で始まったとされます。

英語の「ドラフト」の意味

前述のように、「ドラフト」は元来は英語が語源で「draft」と綴り、非常に多岐にわたる意味を持ちます。

「荷車などを引くこと」「すきま風、通風」「為替手形、手形の振り出し」「酒を樽からくみ出すこと」「吸引」「文章の草稿、下書き、設計図」「軍隊の徴兵」「スポーツのドラフト制度」などです。

これらは名詞としての「draft」の意味ですが、形容詞や動詞としても用いられます。動詞では「草稿を書く」「徴兵する」といった意味になります。

(例文)

  • I caught a cold in a draft. (すきま風のせいで風邪を引いた)
  • He was drafted into the army. (彼は陸軍に徴兵された)
  • I'd like to drink draft beer. (生ビールを飲みたい)

「ドラフト」の語源

日本語の外来語の「ドラフト」も、英語の「draft」も、一見すると、随分異なった意味の言葉ばかりを示しているように思えます。しかし「ドラフト」の語源を探ると、実は根底には同じニュアンスがあることが分かります。

英語の「draft」は、ラテン語の「trahere」が元になっているといわれます。ラテン語の「trahere」は「to draw(引っ張る)」という意味を持ちます。すなわち「draft」もそもそもは「あるものを引っ張る」「引き出す」というニュアンスを持つ言葉だといえます。

このため、例えば「荷車を牽引する」はまさに「引っ張る」行為そのもの。「すきま風」は穴から空気を引き出すイメージです。「為替手形」はお金を引き出すこと、「酒樽を抜く」「吸引」も引っ張り出すことですし、「草稿・設計図」は「ペンで線を引く」ことが転じたものと考えられます。

また「徴兵」や「新人選抜」という意味も、「多くの人々の中から、特定の人物を抜き出す」というニュアンスから当てはめられたと思われます。

ちなみに英語には「trahere」が語源の言葉は他にも多く、「tractor」(牽引車)「attractive」(魅力的な)などがあります。いずれも「何かを引っ張る」という点が共通しています。

日本語の「ドラフト」の使い方と例文

日本語の「ドラフト」は、他の言葉と合わせて使われる例が多く、前述した「ドラフト会議」や「ドラフト制度」がまず挙げられます。これは「新人選択の会議や制度」という意味です。

また「ドラフトビール」は「樽から出したばかりのビール・生ビール」という意味合いです。「ドラフト印刷」は、「印刷の品質を落とした試し刷り」を意味する用語で、「下書き、草稿」といったニュアンスから来ているようです。もちろん「草案」の意味で、「ドラフト」を単独で用いる場合もあります。

これらの「ドラフト」の例文を挙げてみます。
 

  1. 来週のドラフト会議では誰が指名されるか注目だ。
  2. 報告書のドラフトをお配りします。機密書類ですので、会議後は回収いたします。

「ドラフト」のまとめ

現代日本語は古語や中国伝来の言葉が由来といわれますが、英語もローマ帝国時代のラテン語などから派生したものが多いことが、「ドラフト」などの外来語を調べると分かります。今、何気なく使っている言葉の一つ一つに、深いルーツがあるというのは、興味深い事実ですね。

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