「以降」の意味とは?範囲や期間について「以後」「以来」との違いも含めてご紹介

「以降」という言葉を聞いたことのない方は少ないでしょうが、その明確な範囲をご存じですか?「10時以降」とする場合、そのスタートは10時ちょうどなのか、それとも10時1分なのか。本記事では「以降」の正確な範囲や「以後」「以来」との使い分けなど、詳しく解説します。

目次

  1. 「以降」の意味
  2. 「以降」の使い方
  3. 「以降」と「以前」の範囲
  4. 「以降」「以後」「以来」の使い分け

「以降」の意味

毎日といっていいほど日常的に使用される「以降」という言葉ですが、みなさんは正しく使いこなせていますか? 例えば「10時以降飲食禁止」という場合、正確には何時何分からが飲食禁止なのでしょう。

「以」は「~から・~より」という意味を持つ漢字です。つまり「以降」の意味するところは「ある時点からあと」なのですが、ここで気になるのが「ある時点“から”」の「から」ですよね。

時を示す場合の「から」は「始まりとなる基点の時間」を表します。冒頭の例では、基点となる10時ジャストからあとは飲食禁止。言い換えれば「10時0分0秒を始まりとして飲食禁止」ということになります。「以降」は「基点となる時間を含め、そのあとも」という意味なんですね。

「以降」の使い方

「以降」の基点となる時間には、過去も現在も未来も当てはまります。過去を基点とするなら「妻に先立たれて以降、課長はめっきり老け込んだ」、現在を基点とするなら「これ以降はそのような振る舞いは慎むように」といった使い方ができます。

また、「10時以降なら電話に出られる」「あす以降、しばらく曇り空が続くでしょう」などは、未来を基点とした使い方ですね。

「以降」と「以前」の範囲

ちなみに時間を表す言葉には「以前」というものもありますが、やはりこれも「基点となる時間を含め、その前」が範囲です。したがって、「10時以前はテレビを観ており、10時以降は電話をしていた」などとすると、「10時」が重複しておかしなことになってしまいます。

「10時以前はテレビを観ており、それ以降は電話をしていた」あるいは「10時以降は電話をしており、それ以前はテレビを観ていた」とすれば、示す範囲の混乱が避けられます。

「以降」「以後」「以来」の使い分け

ところで「以降」とほぼ同義の言葉に「以後」と「以来」がありますが、これらをどのように使い分ければよいのか気になりませんか?かなり微妙なニュアンスの違いなのでややこしいですが、この機会に使い方をマスターしておきましょう。

「以降」と「以後」の違い

まず「以降」と「以後」の差について確認します。「10時以降停電している」と「10時以後停電している」では、ニュアンスが微妙に違うのがおわかりでしょうか。

「10時以降停電している」という場合、「10時から今に至るまでずっと」という時間の過程に話の重点が置かれるケースが多いのです。一方「10時以後停電している」では、「10時から」という基点に比重がかかります。例えば、10時に何か停電の原因となるような出来事があって、「“あの10時の時点から”今も停電している」と伝えたい場合ですね。

これは本当に微妙なニュアンスですが、実際、そのような使い分けをされている場合が多いということを気に留めていただければと思います。

「以降」と「以来」の違い

以降」と「以来」には明確な違いが存在します。「以降」が先述のとおり過去・現在・未来の範囲に使用できるのに対し、「以来」の基点は過去限定です。「明日以降」という言葉はあっても「明日以来」とは言いませんよね。このように「以来」で基点となるのは過去のある時点のみなのです。

さらに、「以来」と「以降」ではその継続性にも違いがあります。「以来」が「今現在に至るまで」を示すのに対し、「以降」は「(過去・現在・未来を問わず)~まで」という使い方ができます。

例えば「今夜10時以降、明日の朝食まで飲食禁止」は「未来のある時点~未来のある時点」という範囲で使用されていますよね。このように「以降」はその終了時点を過去・現在・未来、自由に設定することができ、また「○○まで」と範囲の終わりを明確にしない場合、終了時点は「未来のどこかの時点」と曖昧な継続性を持つことになります。

逆に曖昧な表現を避け、「未来がどうかはさておき、今の時点までは確実に」というニュアンスを持たせたいなら「以来」を使うとよいでしょう。「有史以来、人間は火を活用してきた」などとする場合で、客観性が重要となる論文などで活躍する表現です。

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