「罰が当たる」とは?意味や使い方をご紹介

「そんなことをしては罰が当たる(ばちがあたる)ぞ」と、親や祖父母、年配者から咎(とが)めを受けたという経験はないでしょうか。「罰」の字は「ばつ」とも読みますが、この場合はなぜ「ばち」なのでしょうか。ここでは、「罰が当たる」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「罰が当たる」とは?
  2. 「罰が当たる」の使い方
  3. 「罰が当たる」の関連語
  4. 「罰が当たる」という言説に効果はあるのか

「罰が当たる」とは?

「罰が当たる」(ばちがあたる)とは、「天が人の悪行を罪して、懲(こ)らしめること」もしくは「悪事のむくい、たたり」という意味の慣用表現です。

「罰」の字は、「処罰」「罰金」「賞罰」のように「ばつ」と読むのが一般的ですが、なぜ「罰が当たる」という場合は「ばち」と読むのでしょうか?そこには明確な使い分けがあります。

「ばつ」と「ばち」の違い

「ばつ」と「ばち」の読みは、次のように使い分けられます。

  • 罰:ばつ…人が与える罰、懲らしめ
  • 罰:ばち…神仏など、天が与える罰、懲らしめ

すなわち、「罰(ばち)が当たる」は、人が定めた法令・規則などによる「罰」ではなく、人以外の何か(天、神、仏、その他因果応報を司るもの)が与える罰であることがわかりますね。

ただし、熟語を作る場合には、「天罰」「神罰」など、罰の行使者が人でも人以外でも「ばつ」と読みます。

「罰が当たる」の使い方

「罰が当たる」という表現を使うにあたっては、「悪行を指して使う」点と、「何らかの理由によって社会の法では裁けない事柄に使う」点、この2点を押さえておきましょう。

社会的な「法」によって、人間のすべての悪行とそれに対する罰を網羅的に定義することはできません。また、法的に「悪」とされる行為でも、それを認定して罰を与えることには社会的な手続き(裁判など)を経る必要があり、すべての悪を裁くのは困難です。

そんな時、「社会的に決められた罰を与えることはできない(与えるほどではない)が、そうした行為をしては天がお前を罰する(から、してはいけない)」という倫理的文脈で使われるのが、「罰が当たる」です。

例文

  • 空き缶を清流に投げ捨てた友人に、私は「そんなことをしては罰が当たるよ」と言い含めた。
  • 動物をいじめていた老人が、突然の事故でなくなった。「きっと罰が当たったんだ」と近所では噂されている。
  • これほど周りから優遇されてきた私が、ほんの一回うまくいかなったくらいで文句を言ったら、罰が当たってしまう。
  • 法の手が届かない大悪人に、正義に燃える刑事は「いつか罰が当たるぞ」と警告した。

「罰が当たる」の関連語

罰当たり

「罰当たり」(ばちあたり)とは、「罰が当たる」を名詞的にした表現であり、「罰が当たるのが当然」の意から、「罰当たりな行為」や「罰当たりな人」を含んで表すことができます。

また、同じ意から、「この罰当たりめ!」「罰当たりなことを言うな!」のように、人をののしる語としても用いられます。

天罰・神罰・仏罰

「天罰」「神罰」「仏罰」は、それぞれ「天から」「神から」「仏から」下される罰のことです。「天罰」は「自然の摂理がめぐりめぐって罰を下す」といったやや曖昧な含みがありますが、「神罰」や「仏罰」は若干宗教色が強くなります。

「神罰」や「仏罰」を用いる際には、根拠となる宗教観やその教えが背景にあることが前提となるでしょう。

天誅

「天誅」(てんちゅう)とは、「天のくだす誅罰(ちゅうばつ:罪をせめて罰を与えること)」という意味であり、基本的には「天罰」と同じ意味です。

しかし、そこから派生して「天に代わって(人が)誅罰を下すこと」という意味でも「天誅」という言葉が使われます。大義名分として天の威を借りていれば、人が直接罰を下すことも「天誅」と言えるわけですね。

時代劇などで、「天誅!」の掛け声とともに、役人などが悪人を斬る描写を見たことがある方もいるのではないでしょうか。

「罰が当たる」という言説に効果はあるのか

宗教色があまり濃くない現代日本社会では、「罰が当たる」という表現が空言のように感じられる方もいるかもしれません。法に反するなら法が罰すればよく、「罰が当たるぞ」と言うくらいなら、その本人が責任をもって罰すればよい、とも考えらます。

しかし、「罰が当たる」と誰かに言われてしまうような状況は、少なくとも誰かの不興を買っています。そして、その不興がいずれ何らかの不利益として自分に返ってくる可能性を、自らすすんで買っている状況でもあるわけです。

人は、あなたも他人も、「法」によって明文化されていない倫理や道徳、あるいは良心といった規範の中でも生きています。「罰が当たる」がそうした規範からの警告、と捉えれば、決して無意味な言説であるとも言えないでしょう。

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