「独壇場」の意味
現在「独壇場」(どくだんじょう)は、一定の場面や分野である人が一人だけ思う通りに振る舞うこと、自分の思いのままに活躍できることといった意味で使われています。
「独壇場」の「壇」は他よりも一段高く作った場所をいい、講演や劇を行う舞台を指します。熟語から考えると演者が一人で舞台に立ち、演説や芝居をするという意味にも取れます。
そういう意味合いから派生して、一人で思うままに活躍することを表すようになったのではと考える方もいるでしょう。しかし、実は漢字の誤表記と誤読が原因で、「独壇場」という語が広まることになったと言われています。
もともとは「独擅場」
「独壇場」は、もともと「独擅場」(どくせんじょう)でした。「独擅場」は、自分の思いのままに動ける場という意味です。「擅」は、自分の思いのままに行動することです。
「壇」の部首は「土」(つちへん)で、「擅」の部首は「扌」(てへん)です。字が似ているので、たしかに間違いやすいですね。現在では、ニュースや新聞でも「独壇場」を間違ったまま使っているところがほとんどです。
「独壇場」の使い方
「独壇場」は、自分勝手に振る舞うなどのネガティブな意味ではあまり使われません。特定の分野や場面でひときわ優れている能力を持った人や、圧倒的な存在の人の活躍を表現するために用いられます。
対象となった人の行動や演技などを見聞きして、周りの人は夢中になって引き込まれます。その場を支配しているような雰囲気が、自分の意のままに振る舞う様子と重ね合わされるのでしょう。
「独壇場」の文例
- 今日のクイズ番組は、チャンピオンの独壇場だったね。
- 決勝はシード校のピッチャーの独壇場で、解説者が将来が楽しみだと言っていた。
- 討論会は弁の立つA先生の独壇場となった。
「独壇場」の類語:他の追随を許さない
「他の追随を許さない」(たのついずいをゆるさない)とは、その他大勢が追いついてこられないくらい、その人の能力が際立っていて素晴らしいことを褒める言い回しです。一人だけ思うままに活躍できる「独壇場」と似た表現です。
【例文】
- 研究で立派な成果を残したAくんは、他の追随を許さない存在だ。
- B社の新商品は、品質、性能、価格いずれも他の追随を許さない素晴らしい商品だ。