「倣う」とは?意味や使い方をご紹介

「倣う」の読み方は難しそうですが、「前へ倣(なら)え!」を知らない人はいないはずです。子どもの頃、朝礼や体育での整列時に聞いた号令です。前の子と同じ動作で、同じ間隔を作りましたが、それが「倣え」の意味のヒントです。今回は「倣う」の意味と使い方をご紹介します。

目次

  1. 「倣う」とは?
  2. 「倣う」の使い方
  3. 「習う」とは?

「倣う」とは?

「倣う」(ならう)とは、あるものを手本として、同じようなことを行う、先例をまねて、そのとおりにする、という意味の動詞です。

学校で、朝礼や体育で整列するさいに、「前へならえ!」という号令がかかったことを覚えているでしょうか。前の子と同じように両手を前に伸ばし、間隔をつくって並びましたね。

何度も繰り返して習慣になっている、慣れ親しむ、という意味もかつてはありましたが、現代日本語では使われていません。

「倣」の字義

「倣」という漢字は、音読みが、(ほう)訓読み(なら・う)。意味は、ならう、まねる、です。

「倣う」の読み方は分かりづらいかもしれませんが、「模倣(もほう)」は比較的よく知られている言葉でしょう。「模倣」とは、他のものに似せること、まねることを表します。

「倣う」の使い方

「倣う」の使い方のポイントは、先述したように必ず(何に倣うのか)という、具体的な対象を明らかにすることです。

対象となるものは、人間、法則、物質、自然など、非常にさまざまですが、「手本として」というニュアンスがあることから、ポジティブな行動・行為をまねることを表します。

文例

  • 恩師の鈴木先生に倣って、僕も居場所のない子どもに勉強を教えるボランティアを始めたよ。
  • 報告書は、前任者の書き方に倣って書き、12日までに提出してください。
  • A社のパッケージデザインに倣って、我が社も洗練されたものを作ってほしい。
  • 人類も、自然に倣ってあるがままに生きたほうがいいと思う。
  • B社の企業理念のありように倣い、我が社も小売店との共存共栄を目指したい。

「右に倣え」について

「倣う」を含む定型的な言い回しのひとつに、「右に倣え」があります。意味は以下の2つです。

  1. 先例に従う
  2. 自分で考え判断することなく、他者のまねをする

もともとこのフレーズは、良い意味でも悪い意味でも使えるものですが、「自分で判断する力がない」というネガティブなニュアンスで使われるケースが圧倒的に多いことを理解しておきましょう。

【文例】常に右に倣えで行動していると、独自の発想で動く力が衰えてしまうぞ。

「習う」とは?

「倣う」以外に(ならう)と読む言葉として、「習う」があります。こちらのほうが、見聞きする頻度が高いかもしれません。それぞれの意味を混同しやすいですから、「習う」の意味もしっかりと理解し、「倣う」と使い分けることができるようにしましょう。

「習う」には、2つの意味があります。

  1. 知識や技術を他者から教えてもらうこと。
  2. 繰り返して練習や学習をして身につけること。

一般的には、1の意味で使うことが多い言葉です。2の意味はあまり用いられることがないため、今回は詳述を避けます。

1の意味では、教師から数学を習う、先輩から仕事を習う、など文例は枚挙にいとまがありません。水泳を習う、のように教える人の存在を省略する例も多くみられます。必ず(なにを習うか)の目的部分を挙げ「~を習う」という言い回しで使います。

文例

  • 私は、幼稚園の頃から15年間、同じ先生にピアノを習ってきました。
  • デスクワークで肩がこるので、ヨガを習うつもりよ。


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