「獅子身中の虫」とは?意味や使い方をご紹介

「獅子身中の虫」という言葉はもともと仏教用語であることをご存知でしょうか。仏教の教えであった言葉が、時代の移り変わりとともに、日常で広く使われるようになりました。今回は、「獅子身中の虫」の意味や使い方について紹介します。

目次

  1. 「獅子身中の虫」の意味
  2. 「獅子身中の虫」の語源
  3. 「獅子身中の虫」の使い方
  4. 「獅子身中の虫」と似ている慣用句

「獅子身中の虫」の意味

「獅子身中の虫」(しししんちゅうのむし)の意味は次の2つです。

  1. 仏教の信者でありながら、仏教に損害を与える者
  2. 組織の中で味方のふりをしながら裏切る人、組織に広く悪い影響をもたらす者

「獅子身中の虫」の語源

語源は『梵網経』

「獅子身中の虫」は仏教の教えが語源となっています。この言葉は元の言葉「獅子身中の虫獅子を食らう」を略した形です。この文言は以下のように、大乗仏教の経典『梵網経』(ぼんもうきょう)に掲載されています。

【読み下し文】
獅子身中の虫、自ら獅子の肉を食らい、余外の虫に非ざるが如し。是くの如く仏子自ら仏法を破り、外道・天魔の能く破壊するに非ず

【現代語訳】
獅子(ライオン)は自分の体の中にいる寄生虫に肉を食われる(死ぬ)のであり、体外にいる虫に食われるわけではない。この状況と同じく悪い信者が自ら仏の教えを破壊するのであり、外道(仏教の教えに背く者)や天魔(仏教と敵対する悪魔)が仏教を破壊するわけではない。

意味の派生

時代が下り「獅子身中の虫」は、仏教以外の場面でも用いられるようになりました。百獣の王の獅子(ライオン)を組織や団体寄生虫を組織に損害を与える人にたとえて、組織の中の裏切り者や組織に悪影響を及ぼす人という意味になったのです。

「獅子身中の虫」の使い方

現在では、「獅子身中の虫」は、もっぱら2の「組織の内部で味方のふりをしながら裏切る者、悪い影響をもたらして組織を腐らせる者」という意味で使われる言葉です。裏切りや妨害の意図がある場合だけでなく、悪気が無い場合にも用いられます。

「獅子身中の虫」例文

  • 殿に背いて私腹を肥やす悪代官は、藩に巣食う獅子身中の虫だ。
  • どうやら警察内部に犯人と通じている獅子身中の虫がいるようだ。
  • 人の良さそうな笑顔で仕事を他人に押しつけるAさんは、周囲に悪影響を及ぼす獅子身中の虫だ。

「獅子身中の虫」と似ている慣用句

恩を仇で返す

「恩を仇で返す」(おんをあだでかえす)とは、人から恩を受けたにも関わらず相手に害を為すことです。不義理な行為を非難する場合に用いられます。

恩を受けたら恩返しをするのが道理ですよね。裏切り者とまでは言えなくとも、不義理な人を表すという点で「獅子身中の虫」に通じる言葉です。

【例文】
いままで目を掛けて専務を裏切って常務派に寝返った彼は、まさに恩を仇で返した人だ。

庇(軒)を貸して母屋を取られる

「庇(ひさし)を貸して母屋(おもや)を取られる」、もしくは「軒(のき)を貸して母屋を取られる」は、信頼した相手に付け込まれてすべてをむしり取られる、あるいは、手を差し伸べた相手に恩を仇で返されることを意味します。

「庇」や「軒」は、日よけや雨除けに張り出した小さな屋根のこと、「母屋」は住まいの中で中心となる建物を指します。建物の一部をちょっと貸しただけで、住まいの中心を乗っ取られてしまう様子から生まれたことわざです。

【例文】
自分が立ち上げた会社の社長の座を、信頼していた部下に奪われた。庇を貸して母屋を取られるとはこのことだ。

腐ったみかん

ドラマ『3年B組金八先生』の第2シリーズで使われたセリフの中に「腐ったみかん」という言い回しがありました。集団の中にたった一人問題がある人物がいるだけで、周囲に悪影響を及ぼすことを表した言葉です。

箱の中に1つでも腐っているみかんがあると、周囲のみかんを徐々に腐らせますね。この言葉は、3年B組のクラスを箱、不良の男子生徒を腐ったみかん、その他の生徒を傷んでいないみかんにたとえた言い回しです。「腐ったみかんの方程式」と言われることもあります。

ちなみに、英語にも似た意味のことわざがあります。"One bad apple spoils the barrel"は、「1個の腐ったりんごが樽の中全体のりんごを腐らせてしまう」という意味です。

【例文】
サボりぐせのあるA君はまるで腐ったみかんだな。周囲も彼の真似をし始めているのは由々しき問題だ。


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