「十人十色」の読み方
「十人十色」は「じゅうにんといろ」と読みます。「十」という漢字は音読みでは「じゅう」「じっ」「じゅっ」、訓読みでは「とお」「と」といった読み方をします。「十人十色」は音読みと訓読みが組み合わされて作られている四字熟語ということになります。
四字熟語というのは漢字4文字で構成される言葉で、その数は無数ともいえるほど多く存在します。スピーチなどでわかりやすくたとえ話をする際に「何かいい四字熟語はないか」と探した経験がある方も多いでしょう。言いたいことをひと言で伝えることができる、便利な言葉といえます。
「十人十色」の意味
冒頭でも触れましたが、「十人十色」は「十人いれば、十通りの考え方がある」といった意味で使われます。たとえば、ある映画を観た後の感想は、観る人の年齢や好みやによって異なりますよね。同じものを観ても、人それぞれに感じ方が違う。また、ある俳優に対して「イケメン」だと思う人もいれば、「イマイチ」と思う人もいます。好みによって感じ方が異なります。そんな状況をひと言で表す際に使える四字熟語が「十人十色」です。
「十人十色」の使い方
「十人十色」は、比較的、いろいろな場面で使うことができる、便利な言葉といえます。たとえば、それほどいいオトコとは思えない人にぞっこんになってしまう女性に対して、「人の好みは十人十色だから」と使うこともあります。もっとも、この場合は「蓼食う虫も好き好き」ということわざのほうが合うかもしれませんが…。
では、ここで例文をいくつか紹介します。
例文
「頑なに貯金をする人もいれば、投資をして儲かろうと思う人、ギャンブルで一攫千金を狙う人など、お金の使い方は十人十色だ」
「小学生のうちからバイオリンやら英会話やら塾に通わせる親もいれば、のびのびと遊ばせる親もいる。子どもの教育法も十人十色だから、ひとつの方向に縛られなくてもいいよ」
「同じトイプードルを飼っている人でも、トリミングでいろんなデザインを試す人や、もさもさのままがかわいいという人まで、十人十色だよ」
「十人十色」の類義語
「十人十色」という言葉にも、似たような意味を持つ類義語があります。
- 三者三様(さんしゃさんよう)…三人いれば、三つのさま(様子)があること。人それぞれで考え方が違うということ。
- 千差万別(せんさばんべつ)…さまざまな違いがあること。
- 百人百様(ひゃくにんひゃくよう)…百人いれば、百通りの考え方があること。
- 多種多様(たしゅたよう)…多くの種類があり、それぞれ違うこと。また、そのようなさまを表す。
似たような意味を持つ言葉ですが、話の流れや文脈に合わせて選ぶとよいでしょう。
「十人十色」の対義語
「十人十色」とは反対の意味を持つ言葉も覚えておきましょう。
- 異口同音(いくどうおん)…多くの人が同じことを言うこと。多くの人の意見や考え方が一致すること。例)「その企画については、会議参加者が異口同音に反対した」
- 尋常一様(じんじょういちよう)…ごくあたりまえ。他と違うところがないこと。普通であること。そのさま。例)「あの年齢で東大を受けて合格するなんて、尋常一様な人にはできないよ」
「尋常一様」は、話し言葉として使われることはあまりありませんが、覚えておいて損はありません。ここぞというときに使えるように頭の引き出しに入れておきましょう。