「マミる」を理解するための予備知識
「マミる」は一言で言ってしまうと、とあるアニメから生まれたオタク用語です。そのアニメというのが、2011年に放送された「魔法少女まどか マギカ」です。社会現象にもなったヒット作。スロットなどにもなっていて、普段アニメを見ないという方も名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
「マミる」の意味を正しく理解するには、このアニメのことを知っておかねばなりません。また作品の重大なネタバレが出てきますので、未鑑賞の方はご注意ください。
「魔法少女まどか マギカ」とは
シャフトが制作し、2011年の1月から4月にかけて放送されたアニメーション作品です。幻想的で可愛らしい作画とシリアスなストーリーがたいへん特徴的です。放送前に情報がほとんど開示されず、そのことでも話題になりました。
タイトルかもわかるように、魔女に立ち向かう魔法少女たちの物語です。まどかは主人公の名前、マギカは「魔法の」という意味のラテン語です。可愛らし作画や絵から、当初は女児向けのアニメのように話が展開していきました。それが、回を重ねるごとに暗い方向へ、深い方向へと迷い込んでいくのです。
魔法少女の一人、巴マミ
作中には五人の魔法少女が登場します。そのうちの一人が、巴マミです。名前からわかるように、「マミる」の元ネタになったキャラクターです。巴マミは魔法少女になろうか悩む主人公たちを先導する立ち位置にいて、名実ともにいい先輩として描かれておりました。
巴マミが「マミる」
※以下、ネタバレがあります。
その巴マミが、第三話で敵の魔女に頭をかじられ死亡したのです。まだ話の導入部で、物語の全景も明かされていない状況での出来事でした。その死に方があまりに唐突かつ残酷であったため、巴マミのような死に方(特に首を刎ねられるような死に方)を「マミる」と呼ぶようになりました。
「マミる」の使い方
アニメや漫画のキャラが死んだ時に「○○がマミった」のような使われ方をします。基本的には自動詞なのですが、時には他動詞として「○○をマミる」というような使われ方もします。「マミる」がネット上で流行った時、節度を持たずに多用する人が大勢現れ、一部から強い反感を買いました。今でも「マミる」を毛嫌いする人がいて、使う際には注意が必要です。
名前が動詞になる稀有な例
名前が動詞として使われるのは大変珍しいことです。しかし、巴マミ以外にも、名前が動詞として使われた例が存在します。そちらをご紹介します。
イチロー選手
みなさんご存知、イチロー選手。彼も巴マミ同様、名前を動詞として使われたことがあります。イチロー選手が出場するある試合で、解説の一人が「なぜイチローはあんなプレーができるんだ」と疑問を呈しました。それにもう一人の解説者が「彼はイチローしてるだけだよ」と答えたのです。それに疑問を呈した解説者は声をあげて笑い「イチローほどの選手になると名前が動詞になるのか!」と驚きを声にしました。
英語は日本語よりもずっと文法に厳しい言語です。その英語で名前が動詞として使われるとは、イチロー選手のすごさがわかるエピソードだと思います。ただこれはその場限りのジョークであって、定着はしませんでした。そういう意味では、「イチロー選手が野球ファンに与えた衝撃」よりも「巴マミがアニメファンに与えた衝撃」の方が大きかったと言えるかもしれません。