「兎に角」の意味
「兎に角(とにかく)」は、「あれやこれや。いずれにせよ」という意味を表す「とにかくに」という古語が転じた言葉です。
「兎に角」には以下のような意味があります。
- さまざまな事情や問題があるにしても、それらには触れずに保留にする。
- すでに話題や問題となっている事柄を軽く無視して、関連する別の事柄に言及する。
- 他の物事はすべて無視して、自分が話題にしたいことを強調する。
1の意味は、問題があることに気づいていても、意図的に触れないでおくこと。2の意味は、Aというテーマの中でA1という話題が出ているときに、Aに関連するA2という別の話題を持ち出すことです。3の意味は、自分の伝えたいことをより強調して相手に伝えようとすることを示します。
「兎に角」の使い方
「兎に角」には、さまざまな事情やすでに触れている問題・話題をいったん保留にしたり無視したりするという意味があることから、話題を変えるときの言葉や自分の意見や気持ちを強く相手に伝えるときの言葉として使われることが多いようです。
また、先述の2の意味で使うときには、「A1は兎に角、A2」という形で使われることが一般的です。
例文
- 細かい問題はいろいろとあるが、今は兎に角行動してみようと思う。
- 実力を発揮できなかったという結果は兎に角、本番までの努力は素晴らしかった。
- 今週は兎に角忙しくて、家に帰れないこともあった。
なぜ「兎に角」と書くのか?
「とにかく」を「兎に角」と書くのは、四字熟語の「亀毛兎角(きもうとかく)」に由来するとされています。しかし、「兎に角」と「亀毛兎角」の意味に特に関連はなく、当て字として使われただけのようです。
ちなみに「亀毛兎角」とは、亀に毛が生えたり兎に角が生えることは実際にはあり得ないことから、「あり得ないことや実在しないはずのもののたとえ」として使われる仏教用語です。また、あり得ない事態が起こることから、もとは「戦争が起こる前ぶれ」という意味もありました。
また、「亀毛兎角」は「兎角亀毛(とかくきもう)」とも言います。
「兎に角」の関連語
「兎に角」は、使う状況や場面に応じて、他の表現に言い換えることもできます。
いずれにしても
「いずれにしても」は、「どのような方法を選ぶとしても。どのような事情があろうとも。どうなったとしても」という意味です。「いずれにせよ」と言い換えることもできますが、「いずれにしても」の方が丁寧な表現になります。より丁寧な表現は、「いずれにしましても」です。
「いずれにしても」は、日常会話よりもビジネスなどのかしこまった場面で使われることが多いと言えるでしょう。また、「どのような選択をしても結果は同じ」といった意味を表すため、否定的なニュアンスを含んで使われることも多いようです。
「いづれにしても」と表記されることがありますが、こちらは旧仮名遣いなので、年配の方で使われる方がありますが、一般的には使われていません。
【例文】
- いずれにしても、この計画を進めていくのには時間がかかる。
- いずれにしても、早急に結論を出さなければならない。
何はともあれ
「何はともあれ」には、「他のことはどうであろうとも」という意味があります。「いろいろと細かい問題があったとしても、最も重要なことはこれだ」というように、「何はともあれ」と言っている人にとって、最重要な事柄を伝える際に使われることが多いようです。
【例文】
- 何はともあれ、あなたたちが無事にここまでたどり着くことができて良かった。
- 何はともあれ、彼に感謝の言葉だけは伝えておいた方がいい。
それはさておき
「それはさておき」は、話題を変えたいときに使われる表現です。会話をしていると本題から外れていってしまうことは珍しくありません。そのような場合に、余談から本題へと話の内容を戻すときに使われることが多いようです。
「それはさておき」は、「ところで」や文章中において無駄話をやめて、話を本題に戻すときに使われる「閑話休題(かんわきゅうだい)」と同じ意味を持ちます。
【例文】
- それはさておき、明日の待ち合わせ時間を決めよう。
- それはさておき、今日の会議のテーマに戻ろう。