「イカす」の意味
「イカす」は、格好良い、おしゃれだ、洒落ている、魅力的だ、洗練されているといった意味です。対象は人でも物でも構いません。感覚的にいいなと思ったときに使われる言葉です。
「イカす」の由来は、性的に相手を満足させることから来ているという説があります。軍隊のスラングとして使われていた表現が一般に広まったそうです。
あまり有力ではありませんが、太平洋戦争以前から使われていた「行ける」が語源という説もあります。「行ける」は、素晴らしい、いいものだということを表す例が多かったようですが、「イカす」と同じような意味の隠語として使われた例もあったようです。
「イカす」の使い方
「イカす」は、対象となる人物や物事の良さを褒める言葉です。「カッコイイ!」「素敵」と感じた時に、主に若者の会話の中で使われました。
現在では死語に近く、耳にすることはあまりありません。この言葉が流行していた昭和の映画のセリフや、文学作品の中などで多く見られます。
「イカす」例文
- イカした靴!センスいいよ、最高!
- 彼女イカすね。いったいどこで知り合ったの?
- 部屋のコーディネート、色合いが統一されていてイカすね。
- 付き合い始めた記念日に彼女の誕生花を渡すなんて、イカした彼氏ですね。
「イカす」の派生語
「イカす」の派生語に「イケてる」があり、現在では「イカす」よりも多く使われるようになりました。「イケてる」は、関西方面で広く使われている語です。
1996年に放送が開始されたバラエティー番組「めちゃ×2イケてるッ!」(通称「めちゃイケ」)の番組名として有名になり、全国に広まりました。
「イカす」の広まり
限られたところで使われる俗語に過ぎなかった「イカす」は、どのようにして世間に広まっていったのでしょうか。また、今はどのように使われているのでしょうか。
「イカす」を広めた映画・歌謡曲
「イカす」は、昭和30年代、石原裕次郎さんの演じる数々の映画の中で「イカすぜ!」「イカしてるぜ!」というセリフが使われたことにより、爆発的に流行しました。
石原さんは女性だけでなく同世代の男性も憧れる存在で、カリスマ性と洗練されたスタイル、魅力的な表情などで人気を博しました。
そんな石原さんが使った言葉が、当時の同世代の若者の間で定着したと見られています。「イカす」の持つ「格好よい」「洒落ている」といった意味合いと、石原さんの魅力が重ね合わされているようです。
また、昭和33年(1958年)には流行歌(「西銀座駅前」歌:フランク永井)の歌詞にも使われ、この年の流行語になっています。
ゲーム「スプラトゥーン」
Nintendo(ニンテンドー)の人気ゲームソフトに「スプラトゥーン」(Splatoon)があります。プレイヤーが「イカ」に変身して、渋谷をイメージしたステージでインクを吹きかけて陣地を取り合うゲームです。
戦闘用アイテムの「ブキ」や、ファッションアイテム「ギア」を組み合わせて戦闘能力をアップさせ、最先端をいく流行の中心地で、おしゃれで強く、格好よく戦う様子を「イカす」という言葉で表しています。
平成29年(2017年)発売の「スプラトゥーン2」では、SNSの「いいね」をイメージさせる「イカすボタン」も登場しました。プレイヤーが公開した自作のイラストに対して「イカすボタン」を押すと、「いいね」という気持ちが伝えられるようになっています。