「矯めつ眇めつ」の意味
「矯めつ眇めつ」(ためつすがめつ)は「矯む(た-む)」と「眇む(すが-む)」の2つの動詞に助動詞がついた連語で、人や物を様々な角度からじっくりと見る様子をいいます。
「矯む」は「矯める」の文語形で、じっくり見る、狙い定めるように見るという意味です。「眇む」も「眇める」の文語形で、片目を細めてじっくりと見つめることをいいます。双方とも、くまなく見るようなニュアンスです。
「矯めつ眇めつ」の「つ」は、古語の完了の助動詞「つ」です。「~つ~つ」と繰り返す形で動詞の連用形に付くと、「~したり~したり」という意味になります。「矯めつ眇めつ」は、「注意深く見たり、目を細めて見つめたり」といった意味合いです。
「~つ~つ」の他の例を挙げると、「行きつ戻りつ」(行ったり来たり)、「持ちつ持たれつ」(支えたり支えられたり)などがあります。
「矯めつ眇めつ」の使い方
「矯めつ眇めつ」を物に対して使う場合は、その物自体をしっかりと見て理解を深めることや、調査や鑑定をすることを表します。
一方、人に対して使う時は、するどい視線を向けて人となりをチェックしたり、その人を気にかけながら行動を確認したりする意味を表します。
例文
- 骨董品店の主人は、客が持ち込んだ古い壺を、矯めつ眇めつして鑑定している。
- 美術館に行き、以前から見たかった絵画を矯めつ眇めつ堪能してきた。
- 入社試験の面接会場で、社長はリクルートスーツに身を固めた大学生たちの様子を矯めつ眇めつ眺めた。
- いくら娘の彼氏に初めて会うからと言って、そんなに矯めつ眇めつ見ていたら失礼ですよ。
「矯めつ眇めつ」の類語
刮目する
「刮目」(かつもく)は、注意深く見ることをいいます。「刮」はこすることを意味し、良く見えるようにと目をこする動作から来ています。「矯めつ眇めつ」と同様に、強い関心を持って見ていることがうかがえます。
「刮目せよ」(目を凝らして良く見なさい)、「刮目に値する」(注意深く見る価値がある、今後に期待できる)といった使い方があります。
【例文】
- 感染症を抑える新薬の開発が成功すれば、刮目すべき業績になるだろう。
- あの選手の能力はまだまだ伸びる。刮目に値する存在だね。