「知る」とは
人は生まれた瞬間から「知る」ことを何千、何万と重ねて成長します。まず周りに自分以外の誰かがいることを知り、それが自分の世話をしてくれる好ましい人であることを認識し、泣くことで要求が満たされることに気づきます。
やがて自分に名前があることを理解し、食べる喜びを経験し、立って歩くことを覚えます。成長することとは、知っていることを増やすことと言い換えることもできるでしょう。
「知る」の意味
「知る」には「物事の存在や発生などを確かにそうだと認める、認識する、気づく、物事の様子や状態・内容・価値などを理解する、忘れずに覚えている、経験する、慣れて覚えている、責任を持つ」などの意味があります。
言葉の意味について考えるために使う言葉をメタ言語といいますが、「知る」ことは世界を理解する上でのメタ知識を得ることと言えるのです。
「知る」の使い方
【例文】
- 彼女が退学届を出したことは、放課後までにはクラス中の知るところとなった。
- 他の国の文化を知ることも大事だが、自分の国の文化を知ることも重要だ。
- 無愛想に見えた父が、母に熱烈なラブレターを送っていたとは知らなかった。
- この絵画が巨匠の筆によるものだとは、当時はまだ知られていなかった。
このほかにも、「知るや否や」(知るとすぐに)、「知る人ぞ知る」(一部の人にはよく知られている)のような慣用句もよく使われます。
【例文】
- 事故のことを知るや否や、彼は病院へと駆け出した。
- 彼女は知る人ぞ知る名家の出だ。
「知る」の類語とは
「知る」の類語には、学ぶ・分かる・気づく・感じる・感づく・覚える・察する・理解する・発見する・見つける・見知る・嗅ぎとるなどがあります。ここでは次の4つについて見ていきましょう。
- 分かる
- 気づく
- 察する
- 理解する
「知る」の類語:1.「分かる」
「分かる」は、①物事の意味や価値が理解できる、②はっきりしなかった物事が明らかになる、③理解・同情を示す、という意味があります。「知る」の類語に相当するのは①と②です。
【例文】
- 彼は自分が置かれた立場をよく分かっていた。
- 彼らがどれほどの喜びを感じているのか、はた目にもよく分かる。
- 濃い霧に包まれて、辺りの様子がまったく分からなかった。
「知る」の類語:2.「気づく」
「気づく」は、①それまで気にしていなかったこと、②物事の存在や状態に思いが及ぶこと、③意識を取り戻すこと、を表します。「知る」の類語に当たるのは①と②です。
【例文】
- 自分の正体に気づかれるのではないか、気が気ではなかった。
- その店員は、客が店に入ってきたことに気づいていなかった。
- 季節がわずかずつ変化していることに気づいた。
「知る」の類語:3.「察する」
「察する」とは、①(隠された事情などを)外に表れた様子などから感じ取る、推測して了解する、②他人の気持ちをおしはかって同情する、③深く詳しく調べるという意味です。①が「知る」の類語にあたります。
【例文】
- 何かいつもとは違う状況にあることが、彼にも察せられた。
- 彼女は感受性が豊かなので、両親の間に緊張感があることを察していた。
- 妻はこの行動の意味を察するだろうか。
「知る」の類語:4.「理解する」
「理解する」とは、①物事の筋道や道理を正しく分かること、意味や内容を飲み込むこと、②相手の気持ちや立場を察することを指します。「知る」の類語としての意味は①です。
【例文】
- 両親は、息子のつたない説明を理解しようと努めた。
- 誰も彼らの真意を理解する努力をしなかった。