「礼を尽くす」意味
「礼を尽くす」(れいをつくす)とは、自分が示せるだけの敬意を(全力で)相手に向かって残さず表すこと、礼儀作法などのマナーを守り、相手に自分の敬意を伝え表現しきる(様子)ということを意味する表現です。
「礼」には、礼儀作法の他に、「お辞儀などの行動で相手に敬意を持っていることを示す」という意味があります。
「尽くす」は、「ある限りを出し切る」、前の言葉を修飾して「すべて残らず~する」というようなことを表しています。
「礼を尽くす」使い方
「礼を尽くす」ということは、対象となった相手に最大限の敬意を示すことになります。ただし、「礼を尽くす」は敬語ではなく、相手への多大なる敬いの気持ちを持って接している様子を表現する慣用句です。
「礼を尽くす」という表現は、現代では日常的な話し言葉で使う機会はあまりないでしょう。格式張った文語表現で大げさな印象になります。小説などの人物描写をする際や、ドラマのセリフなどの書き言葉に使われることがある堅い雰囲気です。
「礼を尽くす」ことは、相手の重みや素晴らしさを感じて尊敬の念がにじみ出ているような接し方をしていることになるでしょう。
「礼を尽くす」例文
- 恩師に礼を尽くして、会合への参加を了承していただいた。
- 来賓の方々に礼を尽くして、くれぐれも粗相のないようにしてください。
- 丁寧に取り繕っていても、相手を重んじて礼を尽くしているようには見えない。
「礼を尽くす」の類語
仰ぐ・仰ぎ見る
「仰ぐ」(あお-ぐ)は、上の方を見上げるということから、立場が上の人を下から見上げるということで敬意を示す、相手を敬うという意味があります。「仰ぎ見る」(あおぎみる)も同様です。
ただし、尊敬の念は相手に持っていますが、「礼を尽くす」のように全力を上げて敬意を表し尽くすような、絶対的な敬意を示すほどではありません。
【例文】
- 師と仰ぐAさんのアドバイスに耳を傾ける。
- B部長は、多くの社員が仰ぎ見る存在だ。
三顧の礼・三顧之礼
「三顧の礼・三顧之礼」(さんこのれい)は、仕事を依頼するために何度も訪問するなど十分に礼儀正しく相手を敬う行動をすること、最大限の敬意を表して優れた人材を招くことを意味する故事成語です。最大限の敬意を払う意味で「三顧の礼を尽くす」と表現することも多いです。
この言葉は、『三国志演義』の中で、蜀(しょく)の劉備玄徳(りゅうびげんとく)が、諸葛孔明(しょかつこうめい)を軍師に迎えるために最大限の敬意を払い、諸葛孔明の住まいに3回出向いて頼みに行って承諾を得るという有名なエピソードが由来です。
「三顧の礼」の場合は、相手の立場や身分、年齢が下になるにも関わらず、立場が上の人が相手の実力を認めて多大な敬意を示すというニュアンスが含まれています。一方、「礼を尽くす」の相手方は、目上の人です。
【例文】
- まだ若手だが、三顧の礼を尽くして〇〇先生と顧問契約をすることに決めた。
- ○○氏は、三顧之礼を以て迎えるに値する優秀な人材です。
「礼を尽くす」の反対語
礼節を欠く
「礼節を欠く」(れいせつをかく)は、相手への尊敬や感謝の気持ちがないこと、礼儀などのマナーを守って相手を重んじる気が全くないことを意味する表現です。
「礼節」は、礼儀と節度、「欠く」は、本来なくてはならないものがまったくないことです。この場合は、礼儀などを守らなければならないのにその気が全然感じられないという、呆れて批判的な気持ちが含まれています。
【例文】
- 今の若い者は、年長者に対して礼節を欠く言動をする奴が多い。
- 粗野で礼節を欠いた行動だが、反省しているようなので許してあげてほしい。