「滞る」とは?
「滞る(とどこお・る)」という言葉から、「渋滞」を連想する人も多いでしょう。「滞る」という言葉は大きく分けて下記の3つの意味をもちます。
- 物事がスムーズにはかどらない、順調に進まない、停滞する。
- 順調に流れない、流れが止まる。
- 支払うべき金が支払われない、もしくは返済がたまってゆく。
3つの意味すべてが、「渋滞」と同様に「進まない、動かない」というニュアンスを含みます。現代の日本語では使われない昔の用法として、④ぐずぐずとためらう。⑤すがりつく。という意味もありますが、今回は割愛します。
「滞る」の使い方
「滞る」の3つの意味は、どれも使われる頻度が高いものばかりです。理解を深めるために、項目に分けて1つずつ解説していきます。
「物事がスムーズにはかどらない」という意味での使い方
上記1の意味での「滞る」は、仕事、作業、勉強など、物事の進み具合が停滞する場合に用いられます。完全にストップしてしまう場合もありますが、予定よりも大幅に遅れている場合にも使われる言葉です。
この意味での「滞る」は、ビジネスシーンでよく耳にします。以下に、いくつかの例文を挙げておきましょう。
- うちの部署ににインフルエンザが流行って欠勤者が増え、仕事がすっかり滞ってしまった。
- 受験勉強の山場ともいう夏休みだが、遊びの誘いについつい負けて、計画が滞っている。
- 大学側が我々の研究への支援予算を大幅に削減したため、実験が滞り成果が出せずにいる。
「順調に流れない」という意味での使い方
上記2の意味での「滞る」は、車の「渋滞」のようになにかの動きや流れがきわめて悪くなるような場合に用いられる言葉です。
- 大規模なデモが始まって、順調だった車の流れが滞りはじめた。
- 土砂崩れが川の中にまで達してしまい、流れが滞って水が周囲に溢れだした。
「支払うべき金が支払われない」という意味での使い方
3つの意味の中でも、上記3の意味での「滞る」は、特に使いたくない言葉です。単純に「お金を支払わない」のではなく、「支払うべき期限になっても支払わない」というニュアンスを強く持ちます。
たとえば、外食をしたときに手持ちが足りずに友人に支払ってもらった場合などは、「支払いが滞る」とは言いません。いきつけの居酒屋などで「つけ」がたまっているのに支払いが遅れている場合は、「滞る」という言葉が適しているでしょう。
【文例】アパートの賃貸料の入金が5か月滞り、ついに大家さんから立ち退きを要求された。
「滞る」の類語
「はかどらない」
「はかどらない」は、「仕事、作業、勉強などのやるべきことがうまく進まない」、「量をこなすことができない」などの意味をもつ言い回しです。
【文例】出勤しても朝からの頭痛がおさまらず、やるべき仕事がはかどらない。
「停滞(ていたい)する」
「停滞する」とは、「1か所にとどまっていること」「物事、作業などが順調に進まないこと」を意味する言葉です。どちらの意味でも「滞る」の類語たりえます。
- 梅雨前線が関東地方に停滞してしまい、雨がずっと続いている。
- 宅急便の配送員が一度に5人も辞めてしまったので、港区エリアの集荷・宅配の業務が停滞している。
「渋滞(じゅうたい)」
「渋滞」とは、「物事の流れが順調に進まないこと」、「つかえて流れていかないこと」などを意味する言葉です。
現在では、物事の停滞の意味ではほとんど使われず、もっぱら道路の交通が混雑し、車の流れが滞ることを指す言葉として用いられています。
【文例】正月をひかえ、すでにあちらこちらの高速道路は帰省ラッシュで大渋滞となっている。
「延滞(えんたい)」
「延滞」という言葉は、「物事がうまく進まないこと、滞ること」、「金銭の支払いが止まること、滞ること」を意味します。「滞る」の意味のうち、「金銭の支払い」に関するものの類語として頻繁に用いられる言葉です。
【文例】税金の支払いを怠っていたら、かなりの額の延滞料金を請求されてしまった。
「滞る」のまとめ
「滞る」は、3つの意味のどれもが「順調ではない」というネガティブな意味をもちます。意味を正しく把握して用いることはもちろんですが、「滞る」という言葉を使ったり使われたりすることのない毎日を心がけたいですね。