「衒学的」とは
「衒学的」は「げんがく・てき」と読みます。「衒学的」は、英語の「ペダンティック(ペダンチック/Pedantic )」を日本語に翻訳した言葉です。
意味
「衒学的」という言葉の意味は、「学問・知識をひけらかす様子」をいうものです。つまり、自らの学識や教養をひけらかし、物知りぶるので、相手からは嫌がられたり、けむたがられたりするような態度のことです。
「衒学的」は人に対して使われることが一般的ですが、論文などのモノに対しても使われる場合があります。また「衒学的な〜」というかたちの形容詞として使われることも多いです。
「衒学的」の用法
- 衒学的な議論はやめて、現実の状況に見合った対策を取る必要があるのではないでしょうか。
- あの本はよく売れているようだが、私にとっては衒学的すぎて楽しめなかった。
- 俊一はなぜか父親の衒学的シニスムに反抗し、若くからフランスの近代文学、ことにランボオに心酔して坊ちゃん風の漂浪の生活を送った。(大岡昇平著『武蔵野夫人』)
「衒学的」の字義
「衒学的」という言葉は、普段は見慣れない言葉ではないでしょうか。特に「衒」という言葉は他に使われる機会も少ないので、いっそう馴染みが薄い言葉に思われることでしょう。
この項では「衒学的」の字義について見てみます。
「衒」の意味
「衒学的」の「衒」には、「騙(かた)る」や「てらう」という意味があります。それぞれ、「上手いことを言って人を騙すこと」と「吹聴すること、見せびらかすこと」という意味です。
「衒(てら)を立つ」もしくは「衒立(てらたつ)」という言葉には、「ことさら遊侠のふりをすること」という意味があります。「遊侠(ゆうきょう)」とは仁義を重んじ、強きをくじき、弱きを助ける人(侠客、やくざ者)のことです。
「衒学」とは
「衒学」は字義通りに解釈すると、「学をてらう」こととなります。つまり、「学問や学識があることをみせびらかしたり、吹聴したりする」こととなるのです。
そのため、「衒学」という学問が存在するわけではありません。「科学的」や「天文学的」といった言葉とは違いますので注意が必要です。
「衒学的」の類語
ペダンティック
「ペダンティック(ペダンチック)」は“pedantic”という英語が由来のカタカナ語です。そもそも「衒学的」という言葉は「ペダンティック」の訳語ですので、意味は一緒です。
「ペダンティック」という言葉の派生語として、「ペダンチズム(pedantism)」や「ペダント(pedant)」という言葉があります。
「ペダンチズム」は「知識や教養をひけらかすような考え、やり方」のことを、「ペダント」は「知識や教養をひけらかす人、衒学者」のことをそれぞれ意味しています。
利口振る
「利口振(りこう・ぶ)る」という言葉は、「かしこそうな振る舞いをする」「才気を鼻にかける」という意味があるので、「衒学的」と同じような意味の言葉であると言えそうです。
ほかに「見識振(けんしき・ぶ)る」と言った場合にも「いかにも見識があるようなふりをする」という意味があります。
スノビズム
「スノッブ(snob)」という言葉があります。これは「ことさら上品ぶったり、自分の趣味を誇ったりして教養人を気どることや、そのさま」を、また「そのような態度をとる人、つまりエセ紳士」を意味しています。
「スノビズム(sunobbism)」は「スノッブ」から派生した言葉で、「上品ぶったり教養人ぶったりすること」を意味しています。
嫌味な成金や「意識高い系」のように、鼻もちならない人に対して用いられるのが一般的です。