「緑の紙」の意味
「緑の紙」(みどりのかみ)とは、「離婚届」(正式には「離婚届書」)のことを意味するスラングです。
なぜ「緑の紙」なのかというと、「離婚届」がみな原則として緑色のインクで印刷されているからです。インクの色に注目して、隠語的・通称的に呼ばれる用語というわけですね。
なぜ「緑」なのか?
離婚届がなぜ「緑」で印刷されるかについて、定説は存在しません。「新しい気持ちでの出発を象徴する」といった説もありますが、憶測の域を出るものではありません。
また、「離婚届書の色」については法律で決まっているわけではなく、その形式は各自治体が決めています。(※書き方、必要事項などの「様式」は法律[戸籍法・第76~77条]で決まっています)
しかし、大半の(おそらくほぼすべての)自治体が緑色を採用しており、離婚届書=緑という形式は、古くから日本全体で慣習化しているものとみられます。
「緑の紙」というスラングの使い方
「緑の紙」という言葉は、「離婚届」を表す隠語・スラングとして、主にインターネット上の掲示板やSNSなどで使われています。
主に「離婚届」という表現のセンシティブな意味を和らげる意図で使用されますが、そのような意図がなくとも、単なる通称や別称として使う方もいるようです。
なお、一般に扱われる公的書類の中で他に「緑色で印刷された用紙」はなく、一般的な語彙の中でも「緑の紙」から連想されるような事物はこれといってありません。よって、「緑の紙」という言葉が「離婚届」以外の何かを指す可能性は低いといえます。
「緑の紙召喚」
「離婚届」を役所からもらうこと、およびそれに実効力を持たせることを、おどけて「緑の紙召喚」(みどりのかみ・しょうかん)と呼ぶスラングがあります。
ここでの「召喚」は「招き呼ぶこと」(招喚)の意で使われているほか、主にゲーム用語では強力なクリーチャーを呼んで使役するというニュアンスから、「緑の紙召喚」には、招き寄せた離婚届の法的効力や影響力を行使するという意味が含まれています。
主に、腹に据えかねる配偶者の態度や行動に対する「意趣返し」「仕返し」といった文脈で使用されるスラングです。
例文
- 先日、ついに緑の紙を書きました。協議も終わって、年号も変わったので、これからは新しい人生を生きたいと思います。
- 旦那がなかなか私の立場を理解してくれない。役所から緑の紙をもらってきて、つきつけてやろうかしら。
- 朝起きたら妻がいなくて、机の上に緑の紙が置いてあった。いきなりすぎる。いったい俺はどうしたらいいんだ。
- 結婚半年目にして、緑の紙を召喚!私を大事にしないからこうなるんだ。
「緑の紙」と「茶色の紙」
「緑の紙」の親戚に、「茶色の紙」もあります。「茶色の紙」は「婚姻届」(俗に言う結婚届)のことであり、緑の紙と同様、婚姻届が多くの場合茶色いインクで印刷されていることに由来するスラングです。
ただし、「婚姻届」の用紙の色は「離婚届」ほど統一されておらず、自治体によって赤、ピンクなどの鮮やかな色が採用されている場合があります。
また、「婚姻届」の存在は「離婚届」に比べればセンシティブではないため、隠語・スラングで呼ばれる機会は少なく、「婚姻届」を「〇〇色の紙」と呼ばわる方はさほど多くありません。
「緑の紙」の豆知識
- 緑の紙は、役所にて無料で何枚でももらえる。その時点で離婚の意思があるかどうかは無関係。最近では、公式サイトでの書類ダウンロードに対応している自治体もある。
- 緑の紙の様式は全国共通であり、どの自治体でもらったものをどの自治体に提出しても構わない。ただし、本籍地・現住所以外の自治体で手続きする場合は、戸籍謄本が必要。
- 緑の紙は、原則として24時間365日受け付けている。役所が閉まっていても、通用口に預けることができる。(出張所など通用口・窓口がない場合は除く)
- 緑の紙の完成には、離婚する両者だけではなく、証人となる成人2名の押印も必要。