「宥める」とは?意味や使い方をご紹介

知っている言葉でも、漢字で書かれると読めないものって意外とありますよね。「宥める」は、まさにその一例と言えるでしょう。日常でもよく登場する言葉なので、読み方だけでなく意味や活用法も一緒に覚えておくと役に立ちます。ここでは「宥める」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「宥める」の意味
  2. 「宥める」の使い方
  3. 「宥める」の類語
  4. 「宥める」の反対語

「宥める」の意味

宥める」は「なだめる」と読みます。以下二つの意味があります。

  1. 怒りや不満をやわらげて気持ちを穏やかにする。
  2. 罪あるいは罪人に対して、寛大な取り扱いをする。

現代では、もっぱら1の意味で用いられています。2の意味を含んだ文脈は、古典などで登場することもありますが、日常生活で見聞きすることはほとんどないでしょう。

また、「宥める」は、古典日本語「なだむ」から派生した言葉です。「なだむ」には、「気持ちを静める」、「寛大に扱う」、「とりなす、調停する」という意味があります。

「宥」の字義

「宥」は、音読みで「ユウ」、訓読みで「ゆる(す)、なだ(める)」と読み、以下の意味があります。

  1. なだめる。
  2. 大目に見て許す。

2の意味で使われている言葉には、「宥恕(ゆうじょ)」「寛宥(かんゆう)」などが挙げられます。これらの言葉はいずれも「寛大な心で罪を許すこと」を表します。

「宥める」の使い方

「怒りや不満を和らげる」の意味での使い方

「宥める」を使うときは、適切なシーンであるかを見極めることが大切です。まず、状況として「怒りや不満などで感情が高ぶっている人がいる」こと。そして、その人を「落ち着かせようとしている人がいる」ことが前提です。

「まぁまぁ、ここは落ち着いて考えて…」や「気持ちは分かるけど、ここは一旦冷静になって…」といったような、事を荒立てないようにとりなしている様子に対して「宥める」を用います。

【使用例】

  • チームワークを大切にする上司は、後輩のミスが許せないと怒る同僚を宥めた
  • お菓子を欲しがる子どもを宥めて、急いで買い物を済ませる。

「罪や罪人に対して寛大な取り扱いをする」の意味での使い方

「宥める」は、古典などにおいては「罪あるいは罪人に対して寛大な取り扱いをする」の意で用いられています。

たとえば、「死罪を宥めて追放す」や「なだむることなく、厳しう行なへ(訳:手加減せずに、厳格に行いなさい)」のように使われます。

「宥める」の類語

慰撫

「慰撫(いぶ)」とは、「人の怒りや不安をなだめ、いたわること」を意味する言葉です。「慰」という字には「なぐさめる。いたわる」、「撫」という字には「なでる。しずめる。おさえる」という意味がそれぞれあります。

【使用例】
優しい音楽は、傷ついた私の心を慰撫する。

鎮静

「鎮静(ちんせい)」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. 騒ぎや高ぶった気分などを、しずめ落ち着かせること。
  2. 薬物などによって神経の興奮をしずめること。

このうち1の意味が、「宥める」に類すると言えます。しかし、「宥める」が人に対して用いられるのに対し、「鎮静」は暴動や物価などに対しても使うことができる表現です。

【使用例】
市民たちによるデモ活動は、警察の介入により鎮静した。

「宥める」の反対語

けしかける

「けしかける」とは、以下の意味を持つ言葉です。

  1. 勢いづけて相手を攻撃させる。
  2. 相手をおだてあげて自分の思うとおりのことをさせる。そそのかす。

【使用例】
成長のチャンスだからと僕をけしかけて、先輩は大量の仕事を振ってきた。

叱る

「叱る(しかる)」とは、「相手のよくない言動をとがめて、強い態度で責める」ことです。「叱る」には「目下の人を良い方向に導く」というニュアンスが含まれており、あくまで「目下の人」に対してのみ用います。

【使用例】
先生があなたを叱るのには、ちゃんとした理由があります。


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